ダンディズム おくのほそ道

石原裕次郎 「脚線美」見せつけたオーダー短パン 服飾評論家 出石尚三

2019/7/11

以来、裕次郎は自分の服のすべてを専属テーラーである遠藤に作ってもらいました。海外から取り寄せたスーツの生地から裕次郎が好みのものを選び、その都度、直輸入して仕立てたといいます。当時、同じ生地はまず日本には入ってこなかったのです。

スーツの表地に凝れば、裏地にも凝る。あるときは裏地に柄を使いたいという裕次郎の要望で、遠藤はエルメスのスカーフを調達しました。裕次郎は背が高いため、上着の裏地にはスカーフが3枚必要だったそうです。こうしたスカーフ柄の裏地を取り入れたのは、日本では裕次郎が先駆けだったのではないでしょうか。

1987年、遠藤は東京・信濃町の慶応病院を訪れました。病床の裕次郎からスーツを仕立てたいと注文が入ったためです。遠藤が用意した生地見本の中から裕次郎は8着分の生地を選び出しました。結局そのスーツには袖を通すことはありませんでした。

出石尚三
服飾評論家。1944年高松市生まれ。19歳の時に業界紙編集長と出会ったことをきっかけに服飾評論家の元で働き、ファッション記事を書き始める。23歳で独立。著書に「完本ブルー・ジーンズ」(新潮社)「ロレックスの秘密」(講談社)「男はなぜネクタイを結ぶのか」(新潮社)「フィリップ・マーロウのダンディズム」(集英社)などがある。
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