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原宿ポップカルチャーの伝道師 レール外れた20年 アートディレクター 増田セバスチャン氏

2019/8/7

だから、アーティストである僕は、いかに“もうからないもの”を作るかということを考えている。今年は「見えない壁を視覚化させる」「穴というネガティブな存在をポジティブに変える」といった企画をやろうとしています。これってビジネスではできない。でもそういうメッセージを発信するパワーがあることが、自分の魅力の一つなんじゃないかな。いかにもうからない仕事をやるかによって、もうかる仕事がくるというような考え方だね。

増田氏がプロデュースしたレストランでインタビュー

――(大森)失礼かもしれないですが、増田さんはもう実績があって、余裕があるからできる部分もあるのかなと思ったのが、未熟な若者である自分の意見でして。僕は大学で始めたSUP(サーフボードの上に立ってパドルでこぐスポーツ)というマイナースポーツを普及させたいと思って学生団体も作って活動しているのですが、「まずは稼いでからやりたいことをやりなよ」と言われて悩むことが多いです。

それは僕も30歳のときに直面した。「6%DOKIDOKI」というブランドショップを今でも原宿で運営していますが、2000年ぐらいに大阪など地方に店舗網を広げたことがありました。自分は結構商才あるじゃん、と自信を持てた一方、関係者から「もっと売れるもの作ってよ」と言われて、悩みましたね。自分はこのままビジネスの道に進んでいくのかな…、でも自分がやりたかったのはアート作品じゃなかったっけ、と考えて色々な人に相談した。「そういうのは稼いでから浮いたお金でやればいいじゃん」っていう反応がほとんどだった。

じゃあ、もうかって余裕ができるのは何歳なのか計算したら、早くても35歳。これはやばいって思った。なぜなら30歳の感性って35歳や40歳のときにはもうないから。今作りたいものを作れなかったら終わってしまうと思って、1店舗だけ残してあとはやめました。自分は社会にメッセージを投げる方が好きだし、それによって皆が考えてくれる、感動してくれる方が刺激的だから。変な話、社会に投げたものって、返ってくる。お金じゃなくて違うモノで返ってくることもある。

青臭いと言う人がいるかもしれないけど、皆できないからそういうこと言うんだよね。バカになることがどれだけ大変か。

■言葉の背景にあるストーリー読み取って

――(U22)広告や商品のアートディレクションからイベント企画、ファッションブランドまで幅広い仕事を手掛けられていますが、創作で苦労したことは。

自分のオリジナリティーを築くまで20年かかって、それまではやりたいことをやれない悔しさをずっと抱えてきたから、アイデアが思い浮かばないということはないですね。どの引き出しを開けようかと迷うぐらい。振り返れば、鬱屈していた若い頃にたくさん引き出しを作っていました。

僕はデザインをするときに、言葉をまず考えてから作っているので、デザインを学ぶ学生にも本を読むことをお勧めしています。そして本は活字で読んだ方がいい。皆ネットニュースとかは見てるだろうけど、あれは言葉じゃないからね。言葉というのはその背景に様々なストーリーがあり、色々な意味が込められているので、そういう含蓄も感じられる能力を鍛えてほしいです。

(文・構成 安田亜紀代)

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