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都会っ子が「地方公立校に留学」ブーム 寮や研修充実

2019/7/9

地域・教育魅力化プラットフォームは「地域みらい留学」に参加する高校同士の交換留学や外国人留学生の受け入れも計画する。水谷智之代表理事は「地域が入り口になり、そこから海外も含め多方面に開かれた環境をつくりたい」と話している。

■水谷智之・地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事「県外生徒の募集で学校改革」

地方公立高校に生徒の県外募集を促す一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」の水谷智之代表理事に聞きました。

――地方の公立高校への関心は高まっているのでしょうか。

地域・教育魅力化プラットフォームの水谷智之代表理事(6月29日、東京・渋谷)

「相当高まっている。学校や地域はこんなに希望者がいるとは思っていなかった。どこまで受け入れ人数を増やせばよいか、寮にいくら投資をすればよいか、考えている段階だ。県外の生徒の受け入れは、島根県の隠岐島前高校で始まり、島根県が『しまね留学』という名で県内各地の高校に広げた。これが昨年から全国規模に拡大し、『地域みらい留学』という形でスタートした。しまね留学のころは来場者は200~300人だったが、昨年は1200人近くと4倍に増えた。今年は2000人を超えた」

――関心の高まりは親の意向が強く働いているのでしょうか。

「私もそう思っていたが、生徒の意欲が結構高い。中学1年から関心を持って来ている子もいる。都会の公立中学にいて、居場所がない、窮屈だと感じている。この延長線上で同じ地域の高校に行っても変わらないと子どもは敏感に感じている。もっと生き生きしたい、もっと自分のことを見てくれる環境に身を置きたい、もっと強くなりたいということへの子どもの感度は高い」

「1990年代にはバブル崩壊で地域を見直すUターン、Iターンがブームになった。親の世代は、みんな頭のどこかに『地方』があったと思う。自分は東京を離れる勇気はないが、子どもがずっと東京にいることがよいことなのかと考える親は多い」

――沖縄や北海道などに人気が偏っていませんか。

「どうせ行くなら離島や北海道などという傾向はある。昨年は久米島、隠岐島前、奥尻の3校に人気が集中していた。本土の『山系』の高校は『これは大変だ』と、いろいろ工夫するようになった。戦いに負けたら生徒が来ない、頑張ったところは経営ができるようになる。そのためには首長が前面に出てくることが大事だ」

「日本は公立高校の全日制普通科ならどこでも、一定レベル以上の均等な教育を行っている。人口減少になると、この均等な教育の負担が重くなり、県教育委員会は廃校にせざるを得なくなる。高校がなくなったら地域は衰退する。しかしその地域ならではの魅力があり、それを生かした教育があるはずで、その主体は県教委ではなく、地域になる。意欲のある学校や県教委と連絡を取り、実際に訪れて首長と校長に会い、覚悟のあるところを集めている」

「出展を考えている学校と地域向けのワークショップも開いている。昨年は各地の県教育委員会向けに、『辺境の高校は廃校にするしかないと思っていませんか』と問いかける説明会も開いた。地域にとっては高校がなくなっては地域が消滅しかねないから何とかしたいが、県立高校なので手を出せない。このねじれた構造を解くため、都会から意欲のある生徒を獲得することに焦点を当てた。これなら地域が喜び、学校も喜び、県教委も喜ぶ。県外生徒をきっかけにして学校改革が進む」

(編集委員 斉藤徹弥)

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