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和菓子と日本酒は意外にマッチ 異色のペアリング体験

2種のちまきはミネラルを感じる日本酒と合わせる

4品目はちまきで2種を用意。実サンショウ・豆チ(そら豆を発酵させたもの)を使ったスパイシーでコクのある塩味と、ナツメヤシ・マカダミアナッツなどを使ったやや甘めのもの。対照的な2つのちまきにお酒を1種類合わせる難しさは、想像しただけで悩みます。

実サンショウやナツメヤシなど個性的な味わいのちまきはミネラル感のある個性派日本酒で

もち米や道明寺粉の米のふくよかな香りがベースになった和菓子なので、同じような米のうま味のある純米酒あたりを合わせるのかと思いきや、運ばれてきたのは「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(滋賀・松瀬酒造)というミネラルを感じる日本酒でした。珍しいタイプのペアリングで、味に集中するあまり、ほろ酔いも冷めていきます。

ワインであれば、余韻にミネラル感のある硬いイメージのものと出合うことがたまにあるかもしれないですが、この種の日本酒はユニークな味わいで頻繁に出合うことはないのかも。きもと造りの純米大吟醸を約2年熟成させているので、香りも味も複雑で、重厚に広がり、味わいに奥行きがあります。それがナッツのコクや豆チのうま味などとも合うのです。

「ちまきは重みがあるので、重めの酒を合わせがちですが、まったりしすぎることも。この酒は後味にミネラル感があって骨格が感じられ、どこか清涼感もあるので、どんどん食べ進められてしまう」と白土さん。

確かに、酒と道明寺、酒と実サンショウ、酒とマカダミアナッツ……。個性的な素材とのいろんな相性を確認するように吟味していたら、お腹もそこそこ膨らんでいるにもかかわらずあっという間にちまきをたいらげていました。当初私が考えていたどっしり純米酒では、確かに満足感はあっても食べ飽きてしまうかも。クライマックスのペアリングは精密に計算し尽くされ、ただ脱帽するばかり。

白味噌あんと餅のやさしい味わいに合わせる日本酒はバランス重視で

お料理のような和菓子が続いたので、最後は和菓子らしい1品で逆に新鮮。5月らしく柏もちが提供されました。

最後のペアリングにみんなが笑顔で和みました。癒やしの酒とともに

葉の香りや、白味噌あんと餅のやさしい味わいに癒やされます。餅は直前にわざわざつくださんがもち米からついたもので、ふんわりとやわらかく、口に含むととろけていきます。

お酒はバランスの良い「廣戸川 純米吟醸」(福島・松崎酒造)。それまで骨格のある酒や硬さ・キレのある酒も楽しんできたせいか、やさしくて穏やかな味わいにホッと癒やされます。「柏もちの白味噌と合いますよね。煮物など甘さのある和食にも合いますし、ぬるかんでもおいしいですよ」と白土さん。

あっという間に2時間半が過ぎました。つくださんの和菓子は独創性あふれ、和菓子の概念を超えた驚きのお料理でした。農家から直送の新鮮な旬の食材を使って、四季折々を表現し尽くしていました。それだけでも感動なのだが、それらに合わせる日本酒の見事なペアリングと解説。たった一度のコース体験でこんなに食文化や日本人の心にまで触れられるとは驚きでした。「食は人の心を豊かにする」――そんな言葉に納得したペアリング体験でした。

(取材・文 GreenCreate)

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