スイスの時計ブランド「ハミルトン」は2019年のテーマとして「AT THE HEART OF CINEMA」を掲げ、ブランドの歴史を訴える新作モデルを展開している。ハミルトンの腕時計は1932年にマレーネ・デートリッヒが主演した「上海特急」以来、500本以上のハリウッド映画に登場してきたという。ハミルトン・インターナショナルのシルバン・ドラ最高経営責任者(CEO)は映画をテーマとすることで、「幅広い層とコミュニケーションを取るいい機会となる」と話す。ドラCEOに聞いた。
――映画をテーマに選んだ理由は何ですか。
「ハミルトンは毎年何かしらのテーマを設定しています。2018年は、米国初の定期航空便サービスの公式時計に採用されて100年を迎えたことから『アビエーション(航空)』をテーマとしました。今年、映画としたのは米国の著名な時計ジャーナリストからの指摘がきっかけです」
「ハミルトンはこれまで、1951年公開の『フロッグメン』で初めて映画に登場したと説明してきましたが、『それは違う』と指摘されました。1932年公開の『上海特急』が初めてだったのです。『そんなに歴史があったのか』ということで、映画との歴史の長さを訴えることを決めました」
■さまざまなターゲットの取り込みめざす
――どのような顧客層を狙っているのですか。
「時計の市場規模は中期的にみると拡大しているわけではありません。このため、マーケットシェアの獲得が重要になります。成長のためには、さまざまなターゲットを取り込んでいくことが大事になると考えています」
「例えば、『ベンチュラ』ならファッションの意識の高い層へ訴求していきますし、『ジャズマスター』は若い層に人気が高いので、若手のビジネスマンを中心にアプローチしていきます。『カーキ』については、ブランドを代表する歴史的な、本質的な商品であるので、そこを伝えながら40歳代、50歳代の男性にアプローチしていきたいと考えています」