二刀流・大谷を育てた監督 「サーバント上司」に学ぶ『部下に9割任せる!』 吉田幸弘氏

吉田幸弘氏

大谷翔平選手を育てた、プロ野球・日本ハムの栗山英樹監督はサーバント型リーダーの一例ともいわれる。全権を握る監督が意のままに采配をふるい、傘下選手を手足のように操るという旧来の監督イメージとは違い、「二刀流」という異色のチャレンジに道を開き、才能の開花をサポートした。「チームメンバーの活躍を後押しし、その果実をチームで分かち合う。リーダーが手柄を独り占めにしない」と、吉田氏は昔の指導者型との違いを説明する。

サポートの役目をしっかり果たすためにも、リーダー自身がプレーヤーとして仕事を抱え込みすぎてはまずい。逆に、リーダーが注力すべき仕事は、チームの働きやすさを改善するための環境整備だ。役員への説明や、予算・ミッションの獲得、チームのムードづくりなど、サーバント的業務は幅が広い。「これまでとはリーダー・上司に求められる役割が変わったことを感じ取って、チームを支えるポジションにやりがいを見いだしてほしい」(吉田氏)

「任せきる」覚悟が肝心

仕事を任せるにあたって、昔風の「丸投げ」は禁物だ。成果目標だけを押しつけて、「後は自分で考えろ」と放り出すような態度はパワーハラスメント的に受け止められかねない。部下はやりがいを感じにくく、結果も不本意に終わりやすい。吉田氏は「その部下に任せた事情や、適任だと判断した理由、遂行に向けた手立てなどを丁寧に説明し、ポジティブに背中を押すのが望ましい向き合い方」という。

任せたからには結果責任を負うのも、リーダー・上司の責務となる。部下が失敗するリスクも受け止めつつ最悪の事態を避ける「ガードレール」的な助言が、チームを支えていく。責任を最終的に負うからといって、過剰な口出しは禁物だ。「任せてもらっている」という信頼感を損なうのに加え、「口出しした上司のせいだから、自分は責任がない」と部下に誤解させてしまう。「強いチームを育てるには、きっちり『任せきる』覚悟が必要」と吉田氏は「口先介入」を戒める。

だが、どんなに有能なリーダーでも、チームの全員と馬が合うとは限らない。付き合い方に苦労する部下を抱えることも起こり得る。そういう場合に備えて、吉田氏は「ナンバー2を育てよう」と促す。上司の考えを翻訳してチームに伝えたり、メンバーの思いをリーダーにささやいたりしてくれるナンバー2がいれば、チームの潤滑剤になってもらえる。「重要な仕事もこなせるナンバー2の存在は、リーダーの負担を軽くする効果が大きい」(吉田氏)

ビジネス書などの書評を紹介
ビジネス書などの書評を紹介