足にフィット ソックスも似合うスライドサンダル3選
この夏履きたい高機能サンダル(中)
ここ数年、若い世代を中心に、街で履く靴としてサンダルを選ぶ人が増えている。サンダルといっても、以前と異なり、素材や構造にさまざまな工夫を凝らした製品が登場しているのだ。
スタイリッシュな迷彩柄をアッパーに採用
スライドサンダルと聞くと、スポーツ後のシャワー時に履く「シャワーサンダル」や、いわゆる「つっかけ」を連想し、「タウンユースには不向き」と考える人も多いだろう。
しかしスポーツサンダルのスライドタイプは、甲部分を覆うアッパーが大きくなっているなど、屋外で長時間履くことを考えて作られている。デザイン性も高いので、休日の街歩きでも違和感はない。
ドットカモフラ柄でスタイリッシュに仕上げたスライドサンダルを展開しているのがニューバランス。アッパーは厚手で大きく、足をしっかり包み込む。ベルトでホールド感を調整できるので、足にぴったりフィットする。
足裏のあたるフットベッドには、「レブライト」と呼ばれる独自素材を使用。同社のランニングシューズのミッドソールに採用される軽量クッション素材で、高い履き心地を誇る。気軽に履けてアウトドアから日常使いまで活躍する、高機能なスライドサンダルに仕上がっている。
「スポーツサンダルはこの2年ほど非常に好調で、幅広い年代に支持されている」と話すのは、ニューバランス ジャパンのマーケティング部PRスペシャリスト、小澤真琴氏。スポーツサンダルをファッションとして取り入れる人が増え、メディアでの露出も増加していることから、「春ごろから売れ始めて夏前には完売する状況もある」という。
ダイヤル調整でフィット感自在
スポーツサンダルの人気が高いシャカから登場したのは、ゴルフシューズなどで知られるフリーロックシステムを搭載した新モデル。シューズのトレンドであるダイヤル式をスライドサンダルに採用することで、着脱が簡単なうえ、街履きによく似合うハイテク感のある1足に仕上がっている。
足の甲をしっかり覆うアッパーは、ダイヤルを回すだけでフィット感を自在に調整できる。締めるときは時計回りに、緩めるときは反時計回りに30度ほど回転するだけだ。フリーロックは、スッと足を入れられるスライドサンダルの利点を生かしたフィッティングシステムといえるだろう。このシステムは水にぬれても壊れることはないという。水辺などのアウトドアへ履いていけるのは魅力だ。
土踏まずのアーチサポートは、日本人の足型に合わせてやや高くし、フィット感と歩きやすさを向上させている。スニーカーに使われる厚いEVA(合成樹脂の一つ)素材のミッドソールでクッション性を高め、エッジの効いたパターンのオリジナルアウトソールでグリップ力を確保。クッション性と耐久性を兼ね備えた構造になっている。
「気温が上昇した5月中旬くらいから売り上げが伸びている」と話すのは、シャカの日本総代理店ブルームーンカンパニーのプレスチーフ、高橋敏郎氏。スライドサンダル人気について「タウンユースやリラックスしたシーンで、楽に履けることが支持されている要因ではないか」と分析する。実際に履いてみた人からは「ミッドソールが厚く、クッション性も高いので履きやすい」という声も多いという。
ビブラム社製フットベッドとアウトソール
ファッション感度の高い人たちから支持されているブランド、スイコックのスライドサンダル「KAW-VS」は、毎年アップデートを重ねて販売される人気モデル。サンダルの「ソックス履き」を広めた立役者だ。
2019年モデルは、アッパーに上品なスエードを採用し、よりタウンユースに向くデザイン性を備えた。アッパーは2本のベルクロストラップでフィット感を調整可能。足をしっかりホールドできる。
そして注目すべきはイタリアの靴底メーカー、ビブラム(Vibram)社製のオリジナルフットベッドと、同社が開発した「MORFLEX」素材のアウトソールという組み合わせ。ソール全体が非常に厚く、フットベッドには足裏をサポートする凹凸があり、長時間の歩行も快適。アウトソールは滑りにくく、さまざまな場所へ行くことができる。
「ここ数年でサンダルブランドとしての認知度が大きく向上したこともあり、4月から8月にかけては特に売り上げが伸びる」(スイコックのPRを担当するアドナストの杉野かほ氏)。主な購買層は20~30代前半。人気ブランドや著名アーティストとのコラボレーションモデルを数多く展開していたことから、以前はファッション関係者を中心に支持されていたが、年々、幅広い人たちに認知されるようになってきているという。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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