会社が求めるのは変われる人 「つながり」守らず更新一橋大学名誉教授 石倉洋子(7)

ネットワークにも「棚卸し」が必要

そこで私は、「つながり」を流動的なものととらえて随時見直すこと、ときどき棚卸しをして更新することを提案したいと思います。ソーシャル・メディアを中心とする最近の「つながり」は、前述したような多くの日本企業で見られる固定的な関係ではなく、流動的なものです。しかし、つながりを持ち、それを続けていると、企業や組織と同様にそれが硬直化する可能性があるのです。

皆さんの中には、情報量が多く、スピードが速いSNSを追うことにかなりの時間を使ってしまい、世界を知ったような気になってしまっている人はいませんか。私も限りなく増えてしまうフェイスブックの友達やフォローしているツイッターのつぶやきに圧倒されてしまうことがあります。

そういう場合、私が試しているのは、フォローする人、キュレーション、テーマなどをときどき見直し、まだ世界の潮流に合っているか、過去の遺物になっていないかを自分なりに検証することです。自分の活動の棚卸しと同じように、本来何を求めて「つながる」のかをもう一度思い返し、「つながり」の対象、ネットワークの棚卸しをするのです。

たとえばツイッターをフォローするだけでなく、アンフォローしたり、フェイスブックの友達やグループを期間限定にしたりすることもあります。

ネットワークの棚卸しについては、最近、フェイスブックやグーグルなど膨大なデータを持つ企業の力があまりに強くなっているのではないか、という懸念が世界的に強まっています。個人データが流用され、選挙の結果や購買への影響が想像以上に強くなっていることや、なかなか離れられなくなる(中毒症状に近くなる)SNSのアルゴリズムの設計など、テクノロジーが個人に提供する機会よりも、テクノロジーによって個人の自由や権利が脅かされている可能性のほうが高まっています。

実際フェイスブックなども海外ではやめる人がかなり増えています。SNSについてもその力がどの程度なのかわからない部分が多いのですが、ときどきは、自分なりに棚卸しをして、本当に自分にとって有用なのか、惰性で所属し続けているグループなのではないか、など見直す必要は高まっています。

新しい取り組みでスラックを使っているのですが、実際には使いやすいため安易にいろいろ書いてしまって話がわかりにくくなったり、メンバーの出入りがかなりあるため、最近、メンバーもテーマもいずれも絞り込み、整理してしまいました。常に見直す必要があることを実感しました。

世界が刻々と変化しているからこそ、SNSにも「賞味期限」があるのです。

石倉洋子
一橋大学名誉教授。1949年生まれ。71年上智大卒業し、。フリーの通訳などを経て米国で経営学修士号(MBA)と同博士号(DBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で企業戦略のコンサルティングなどを手がけた後、青山学院、一橋、慶応義塾の各大学・大学院で教授を歴任。専門は経営戦略やグローバル人材。資生堂などの社外取締役も務める。

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著者 : 石倉 洋子
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 864円 (税込み)

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