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世界を20分駆け巡った謎の地震 ついに原因が解明

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/6/10

ナショナルジオグラフィック日本版

2018年5月以来、マヨット島付近で群発地震が発生していた。写真は、マヨット島すぐ東にあるシシウア・ムブジ島。この島の北東に、群発地震の震源地と新しい海底火山があることが、最新の研究で明らかになった(PHOTOGRAPH BY HEMIS / ALAMY)

2018年5月10日、アフリカ大陸とマダガスカルに挟まれたフランス領マヨット島を群発地震が襲った。そのほとんどは小さかったが、5月15日には島がかつて経験したことのないマグニチュード5.8の地震が発生した。

群発地震はいまもなお続いている。その隙間を縫うように、2018年11月11日、奇妙な地震が世界を駆け巡り、1万7000キロ以上離れた地震計にも記録された。にもかかわらず、周期があまりに長かったため、揺れを感じた人間は誰もいなかった。

この不思議な現象に科学者たちは困惑していたが、その原因が最近になってようやく解明されようとしている。マヨット島から東に約50キロ離れた海底で、火山が誕生したというのである。水深3200メートルの海底に出現した火山の高さは800メートル近くあり、直径は広い所で5キロ程度と計測されている。これは観測史上最大級の海底火山活動だ。

フランス国立科学研究センターは、群発地震の震源地を探るため、パリ地球物理研究所(IPGP)のナタリー・フイエ氏とフランス海洋開発研究所のステファン・ジョリー氏が率いる調査船マリオン・デュフレーネ号を現場の海域へ派遣するなど、多方面から調査を進めていた。最新の調査では、2月に設置した6つの海底地震計の回収に成功している。

データはまだ初期段階で、科学者らは現在、調査結果を分析中だ。論文はいずれ査読付きの学術誌に投稿されるという。だがその前に、調査チームは共同声明で新たな海底火山の誕生を発表し、群発地震との関連についての考えを明らかにした。

声明には、「新たな発見を踏まえ、フランス政府は今回の驚くべき現象を調査し、理解を深めるためにあらゆる手を尽くしています。また、これによって予測されるリスクを特定し、回避するために必要な対策を講じるつもりです」と書かれている。

マヨット島の群発地震について調査していた英インペリアル・カレッジ・ロンドンの地震学者スティーブン・ヒックス氏は、この謎の現象に何カ月もおびえてきた島の住民も、これでようやく安心できるだろうと語る。

■4000年以上を経て、それは突然始まった

マヨット島が属するコモロ諸島は火山島だが、噴火は4000年以上起こっていなかった。ところが2018年5月から、マヨット島周辺の地質活動が突然活発になった。マグニチュード3.5の地震が実に1800回以上記録されたのである。島自体も、同年7月中旬から、東へ向かって毎月1.5センチ移動し、1センチずつ海に沈んでいる。

そして11月、奇妙な地震の波が発生した。20分以上も続いたが、先に書いたように、あまりに低周波だったために揺れを感じた人はいなかった。ただひとり、「@matarikipax」というアカウント名を持つ地震マニアだけが、米国地質調査所のリアルタイム地震観測モニターに、奇妙なジグザグの波形が記録されているのに気づいた。その画像をツイッターに投稿すると、世界中の科学者が飛びついた。

「明らかに、心配でもあり、かつ魅力的でもある出来事でした」と、調査チームの一員で、IPGPの海洋地震学者であるウェイン・クロフォード氏は言う。「それまで誰も見たことがないものでした」

その当時から、群発地震も謎の地震波も、マグマの動きと関係があると専門家は結論付けていた。おそらく、群発地震はマグマが地下を移動したせいで起こり、低周波の波はマグマ溜りが崩壊したために発生したと考えていた。

火山活動とこれらの現象との関連は、2019年2月に論文投稿サイト「EarthArxiv」に発表された査読前の論文でも支持されている。論文は、観測史上最大級の海底火山活動により、巨大なマグマ溜りからマグマが抜け始めたことが群発地震の原因であるとしている。

しかし、海底を震源地とする地震の観測は十分ではなく、噴火の直接的な証拠もない。したがっていまのところ、これ以上詳しいことは言えない。

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