増えたのは東京だけ 14歳以下の子どもが一極集中

保育園や習い事にも子どもが殺到している(都内で散歩する保育園児)
保育園や習い事にも子どもが殺到している(都内で散歩する保育園児)

毎年5月の「こどもの日」に合わせ、総務省が14歳以下の子どもの数を発表します。2019年は1533万人で、38年連続で減ったことがわかりました。ただ、内訳をよく見ると気になることがあります。東京都だけが増えているのです。

東京で暮らす子どもは155万人います。18年より8千人増えました。子どものうち、およそ10人に1人は「東京っ子」というわけです。東京都の推計では01年から増え続けています。

東京は子どもを育てやすい場所なのかというと、そうでもなさそうです。保育園に入りたくても入れない待機児童問題は有名ですが、習い事や小学生になってからの学童保育も、子どもが殺到しています。

「スイミングにも入れない」。都内で子育て中の30代女性はため息をつきます。5歳の子どもを週末の水泳教室に通わせようと複数に問い合わせても、「100人待ち」「数年待ち」という状況でした。大きくなってからは入れないとわかり、下の子は1歳から予約しました。

住まいの確保も大変です。リクルート住まいカンパニーの調査では、18年の首都圏新築マンション契約で、平均面積は68平方メートルと、01年に調査を始めて以来、最も小さくなりました。同社は「坪単価が上がっているので、面積を広くすると買えなくなっている」とみています。

なぜそんな東京に子どもが集中してしまうのでしょう。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子准主任研究員は「地方自治体が、若い女性の流出に手を打てていないことが根本の要因」と指摘します。「子育て支援などで出生率の向上に努める自治体は多いが、子を産む前の女性が、仕事がないために出て行っていることへの危機感が薄い」のが現状のようです。

東京都の出生率は全国最低でも、今後産んでくれる女性がどんどんやってくるので、絶対数で子どもが増えるというわけです。東京都の推計では、しばらく東京都の子どもは増え続けるものの、25年ごろには減り始めます。様々な「待機問題」は緩和されるかもしれませんが、人口の偏在はより深刻になる可能性があります。

国立社会保障・人口問題研究所の調査では、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で生まれた人は、約9割が首都圏で暮らし続けています。中京圏や大阪圏と比べても高い水準です。同研究所は「教育や就職の機会が多いため、他地域に出ていかない」と分析します。

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