増えたのは東京だけ 14歳以下の子どもが一極集中

東京っ子を、縁もゆかりもない地方に移動させるのは簡単ではありません。「子ども一極集中」は、「地方創生」の未来をより厳しいものにしそうです。

天野馨南子・ニッセイ基礎研究所准主任研究員「地方は女性定住の環境づくりを」

少子化問題に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子准主任研究員に、子ども偏在の課題について話を聞きました。

――子ども人口を地域別に分析されていますね。

「戦後の1950年から2015年までの65年間にわたる長期間の分析と、1990年から2015年の25年間の中期間に分けて、子ども人口を分析しました。長期間では、東京のベッドタウンである神奈川県、埼玉県、千葉県だけが子ども数を増やしていました。25年間の中期間でみると、全国で少子化が進み、子どもの数が増えたエリアはありません。ただ、最も減少率が低かったのは東京都です。15年でも、90年の約9割の子ども数を維持しています」

「人口分析から導き出すと、関東の大都市がこどもの数をキープし、次世代人口育成の勝ち組となっています。一方、残る地方はこどもの数を大きく減らし、特に東北や四国では厳しい状況が続いています」

――地方のほうが出生率は高いですが。

「地域出生率の高低に注目しても人口減少対策としては意味がありません。例えば、島根県をみてみます。15年の出生率が1.8と全国平均よりも常に非常に高い県ですが、戦後からの長期間で見ると子ども数は2割台にまで減りました。25年の中期間でみても、6割に減っています。女性人口の流出が出生率の高さを打ち消し、出生数を減らすことを自治体は理解してほしい。国がマクロ政策として出生率の向上を掲げるのはわかりますが、地方がミクロ政策で出生率の向上だけに着目していても、女性流出が続く地方の子どもは増えません」

――地方はどうしたらよいでしょうか。

「出生率向上より、まずは女性に住み続けてもらえる環境づくりが必要です。首長と話していても、仕事を求めて女性が出て行く現状を軽視して人口対策を考えているように感じます」

「例えば『子育て世帯の誘致』を掲げる自治体は多いです。しかし、日本では90年代に共働き世帯と専業主婦世帯の数が逆転し、すでに共働き世帯が多い世の中です。女性への仕事の提供を考えずに子育て世帯を誘致するのはとても難しい。夫の仕事、妻の仕事、子どもの教育の3点セットがそろわないと、子育て世帯は誘致できないのです。男女の仕事と子どもの教育機関の豊富な東京に隣接するからこそ、関東のベッドタウンでの子育て世帯誘致政策がうまくいくのです。こうした前提条件の認識が、地方の政策立案者に特に必要ではないでしょうか」

(福山絵里子)

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