街で海で足にやさしい 高機能トングサンダル3選
この夏履きたい高機能サンダル(上)
ここ数年、若い世代を中心に、タウンユースとしてサンダルを選ぶ人が増えている。実際、一口にサンダルといっても、以前と異なり、素材や構造にさまざまな工夫を凝らした製品が登場しているのだ。そこで、今夏おすすめの高機能サンダルを3回に分けて紹介する。第1回に取り上げるのは、鼻緒がついた「トングサンダル」。近年注目を集める「リカバリーサンダル」など足にやさしい機能を持ちながら、普段使いにもビーチでの遊びにも向いている、汎用性が高いモデルを選んだ。
鼻緒もやわらかく履きやすい
リカバリーサンダルとは、ランニングなどのスポーツ後に、足の疲労を回復させるために履くサンダルのこと。しかし昨今は、足への負担の少ない、クッションの利いた履き心地から、タウンユースとしての人気も高まっている。
「OOFOS」(ウーフォス)は、2011年に米国で誕生したリカバリーシューズブランド。スポーツ選手やトレーナー、大手シューズメーカーの製品開発に携わるベテランチームといった人たちによって立ち上げられたという。
「世の中の健康意識の高まりと、スポーツやアスレジャーファッションが注目されていることから、リカバリー製品の需要は非常に高まっている」と話すのは、ウーフォスを日本で展開するアルコインターナショナルのWIND事業部執行役員の中野大志氏。スポーツショップだけなく、ファッション系の店舗にもリカバリーをテーマにした売り場が増えており、多くの世代・客層に「リカバリー」という言葉が認識されたことも人気の要因だと話す。
ウーフォスの中でも人気なのが、トングタイプのサンダル「OOriginal(ウーオリジナル)」。鼻緒がやわらかいため履きやすく、長時間履いていても足が痛くなりにくい。
リカバリーサンダルのためフットベッドもやわらかく、土踏まずをサポートする形状で歩きやすい。特殊素材「OOfoam(ウーフォーム)」が使われており、一般的なサンダルに用いられるEVA素材(合成樹脂の一つ)と比べて、着地による足裏への衝撃を抑えることができるという。水にも強い素材なので、ビーチサンダルとして使うこともできる。
現在の売り上げは前期対比230%の伸びだ。「最終的には260%くらいに着地すると予測しています」(中野氏)。基本的には運動したあとに、アフターケアとして履くリカバリーサンダルだが、街歩きやビーチ用として、さらに室内履きとして利用しているユーザーも多いそうだ。
ビルケンシュトックのビーチ対応モデル
世界的に知られるサンダルブランド、ビルケンシュトックも実はビーチサンダルを展開している。ビルケンシュトックといえばコルクを活用したフットベッドが有名だが、同社のビーチサンダルはソールやフットベッド、アッパーのベルトまでEVA素材で成型されているのが特徴。耐久・耐水性に優れ、ぬれた場所でも滑りにくい。
ビルケンシュトックのサンダルは、医療用の矯正靴として解剖学に基づいて開発されたところから始まった。凸凹が施されたフットベッドが歩く際に足をサポートし、圧力を軽減。これにより足、関節、背中がラクになるうえ、しっかりと足を支えるため、足の筋肉も同時に鍛えられるという。
EVAモデルのフットベッドも、コルクモデル同様に凹凸があり、足をしっかりとサポート。履き心地のよさに加え、足の健康を促進するための機能も兼ね備えている。
今回紹介する「Gizeh(ギゼ)」は、同ブランドを代表するモデル。特徴的なデザインは、古代エジプトのトングサンダルから着想を得たという。ビーチサンダルなのにベルトでフィット感を調整できるのもうれしい。
EVAモデルはカラーバリエーションも豊富。使い勝手がよく、コルクモデルの半額程度というコストパフォーマンスの高さもあって、好評を得ているという。
「足の総合病院」監修のリカバリーサンダル
テリックのリカバリーサンダルは、日本では珍しい足の病気を専門的に治療する医療機関、下北沢病院の久道勝也理事長監修で生まれた製品。
独自にブレンドしたEVA素材を使用し、優れたクッション性、反発性、弾力性を実現。衝撃を吸収するだけでなく、反発力もありスムーズに歩ける。
弾力性のある素材でさまざまな足幅にぴったりとフィット。土踏まずが盛り上がったアーチサポートにより足をしっかり支える。また弧を描くヒールが、かかとへの圧力を軽減し、足のアーチを支える効果を倍増させるという。
サンダルを真横から見ると、つま先とかかとが反り上がっていることがわかる。これは「ロッカーボトム」と呼ばれ、ロッキングチェアと同じ要領で足運びをサポートする。
「2018年は2万足の販売でしたが、リカバリーサンダルは人気傾向にあり、2019年は4万足の販売見込み」と話すのは、テリックを展開するドウシシャのアシスタントマネージャー、五十嵐健介氏。主な購買層は30代以上で、スポーツ後のアフターサンダルとしてはもちろんのこと、室内履き、オフィス履きとしても支持を得ているという。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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