「王さんに学んだ」 加賀屋5代目がめざすリーダー像加賀屋 小田與之彦社長(下)

「王さんは本当に努力家で、私がパソコンの表計算ソフトの存在をお教えしたときも、すぐに参考書を入手していらした。長くお付き合いさせていただいていますが、並大抵ではない努力が世界の本塁打王を生んだのだなあと思う瞬間が何度もありました」

「そんな中でも、私が一番感銘を受けているのは、王さんがどんなときも相手によって態度を変えず、常に公平に接してくださるところです。私が日本青年会議所(JC)にいたころですが、山形県のJCの仲間と王さんに対談してもらったことがあります」

試合に負けても気軽にもてなす

「王さんは当時、福岡ソフトバンクホークスの監督で、地方でのナイター試合の後お食事に行く約束でしたが、試合は延長になりホークスは負けてしまった。さすがに会えないかなと思っていたら、『部屋に遊びにおいで』と。『今日はふがいない試合でごめんね』と言いながら、ホテルの部屋の冷蔵庫から飲み物をどんどん出して、『若い人たちが日本を盛り上げるためにJCで頑張ってくれてありがとう』って若かった私たちをもてなしてくださいました」

「その年の年末に、王さんを1年間、追跡取材した内容のテレビ番組が放送されました。番組が終わると同時に、対談をさせてもらったJCの仲間が電話してきたのですが、彼、泣いてるんですよ。『小田さん、王さんはすごいよ。テレビで何百万人に見られると思って話している時と、僕らみたいな若造と会っている時と、態度も言葉も何も変わらないじゃないか』って」

――王さんの表裏のない人柄が、まさに目指すリーダー像なのですね。

加賀屋の小田社長(左)と妻で若女将の絵里香さん

「国民的歌手といわれた故三波春夫さんの有名な言葉に『お客様は神様です』がありますよね。あれは、実はちょっと間違った解釈をされているかもしれません。『お客様ならどんなむちゃな注文をしてもいい』と捉えてしまう方もいますが、本来は、『お客様にはなんでもわかってしまう』という意味だと思っています」

「そんな気持ちもあり、今年から、客室係以外の新入社員も全員、加賀屋のしきたりである玄関でのお客様のお出迎えを経験させています。お客様の前だけ取り繕っても、普段の姿がひどければ見えてしまう。お客様だけでなく社員に対しても同じだと思っています。常に公平に、分け隔て無く接すること。お客様に対しても決してうそのない謙虚な姿勢を持ち続けること。王さんのようなリーダーを目指してこれからも加賀屋のモットーである『笑顔で気働き』を社員たちに伝えていきたいと思います」

(藤原仁美)

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小田與之彦
1991年慶応大商卒、丸紅入社。95年ハワイのシェラトン・ワイキキ・ホテル勤務を経て、1999年米コーネル大ホテル経営大学院を修了後、加賀屋に入社。07年に副社長、14年から現職。08年には日本青年会議所(JC)会頭を務めた。

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