価格決めるのは読者 気鋭の起業家が自著で試みる実験八重洲ブックセンター本店

すべてのビジネスは実験

著者の光本氏は2017年、服や靴、バッグの写真を撮れば、その瞬間に金額が表示され、その額が口座に振り込まれるアプリ「CASH」をリリースし、話題をさらった気鋭の起業家だ。簡単に自分のネットショップが開設できるサービス「STORES.jp」や後払い専用の旅行代理店アプリ「TRAVEL Now」などを手がけている。「僕にとって、すべてのビジネスは『実験』です」と言い切るその思考法を体験に沿って明らかにしたのが本書の中身だ。もちろん「価格自由」というこの本を使った実験もその実践のひとつになる。

全体は3章構成。生い立ちから「STORES.jp」や「CASH」をつくった思考の流れを第1章でたどり、第2章では自身の思考態度や生活習慣など披露しながらビジネス発想とのつながりを語っていく。第3章はそんな光本氏が考える未来予想図。ネットでビジネスを展開しながら、極力普通の生活を送ることを大切にし、そこで感じた「違和感」をスルーしない態度が独創的なビジネスを着想する基礎をなしていることがよくわかる。

「中高年の読者が多い当店では珍しく、若い人たちが手に取っていく」とビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんは話す。書店で払う価格が週刊誌並みのワンコイン以下というのもその売れ行きを支えているのだろう。単純なベストセラーというより、書籍をフックにした新しいビジネスモデルとしても、いろいろな示唆を含んでいると感じる。

『FACTFULNESS』、相変わらずの強さ

それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法山口揚平著(プレジデント社)
(2)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP社)
(3)実験思考 世の中、すべては実験光本勇介著(幻冬舎)
(4)アウトルック最速仕事術森新著(ダイヤモンド社)
(5)父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。ヤニス・バルファキス著(ダイヤモンド社)

(八重洲ブックセンター本店、2019年5月12~18日)

1位は大手コンサルティングファーム出身で事業家の著者が「短時間で成果を出す思考の技法」を伝授する本。2位の『FACTFULNESS』は、店頭での売れ行きでは1位だといい、相変わらず強さが際立つ。3位に今回紹介した『実験思考』。4位はメールの整理法やショートカットキーの使い方など、アウトルックの活用法を説いたスキル本だ。5位の経済の本質をわかりやすく語った本も、このところ売れ筋上位の常連になっている。

(水柿武志)

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