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私のリーダー論

自らトップの解任基準づくり 結果なき独走に歯止め アサヒグループホールディングス 小路明善社長兼CEO(下)

2019/5/23

「時代の変化の兆しは常にあります。その変化の兆しをつかみ取り、読み取ることが大切です。変化が起きてからでは遅すぎます。2008年のリーマン・ショックのときもそうでした。小さな変化をみて動く。顕在化したときには遅いのです。2つの『きょうそう力』、競争力と共創力を使いながら、多様な人材の多角的な視点で、変化の兆しを見過ごさないように努めています」

――19年3月の株主総会では、取締役の半分を入れ替えました。

「トップの直感力に頼っているようではガバナンスは立ち行きません。多様な人材が持つそれぞれの専門能力を生かさなければ、時代を乗り越えることはできません。世界は『VUCA(激動、不確実、複雑、不透明)の時代』にあります。政治や経済、景気や消費などが複雑に絡み合い、予測困難かつ変化の幅も大きくなっています」

「船の航海に例えてみましょう。立ち込める霧で10メートル先も見えないときは、レーダーを使い、船首で目視する見張り役の情報や気象情報など、あらゆる持ち場の専門能力をフル活用しなければ乗り切れません。それと同じです。船長というリーダーの直感だけでは足りないのです。ビジネスに戻っていえば、いまの時代、何がビジネスチャンスで何がリスクなのかすら、明確ではありません」

■トップダウンのよさを失わず、かつスピーディーに

「当社はマネジメントの体制として、専門能力に優れた人材が多角的な視点から経営戦略を構築する『総合力型』をめざしています。19年12月期から、取締役にはM&Aや人材育成、サプライチェーン(供給網)など、それぞれの分野で経験豊富な人材を起用しました。また、多様性の観点から、社外取締役に経営学専門の外国人女性教授を起用しました。(M&Aなどを通じた)『非連続の成長』を続けていくためです」

「(リーダーの役割を明確にするために)会議の進行も変えました。これまで経営会議では、私が自分の考え、方向性を話し、役員から意見を聞く場でした。現在は、まず役員から意見を聞くように改めました。案件を進めるべきか否か、リスクとチャンスを示してもらい、その後に私が意見をいう形式に変えました。トップダウンのよさを失わず、かつスピーディーに対応できるようにしました」

泉谷直木アサヒGHD現会長(右)と社長交代の記者会見に臨んだ(2016年2月9日)

――19年12月期から3カ年の新たな中期経営計画が動き始めました。

「今年、2019年をグローバル企業へ向けた挑戦の第一歩を踏み出す年と位置づけています。欧州ビール事業の買収による効果もあり、売上高の3割、利益では4割を海外が占めるようになりました。社員もグループ全体の半分は外国籍です。これからは海外の売上比率がどんどん高まります。特にビール事業では、強い競争力を持ったグローバルなプレミアムビールメーカーとして、オランダのハイネケンに追いつくという明確な目標を設定しています。現在、向こうの時価総額は6兆4000億円、当社は2兆5000億円ぐらいです。必ず縮められると思っています」

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