企業に買われる経営人材の共通点 必須の5つの力とは経営者JP社長 井上和幸

「決める力」とは、決断力です。リーダーというのは毎時間、毎分、毎秒が決断の連続。その決め方にもその人の個性が出ます。一人で決める人、衆知を集め合議する人、さまざまです。

決められないトップやリーダーがいると、組織は混乱や停滞をきたします。向かうべき方向を得られない組織は、迷走するか、動けなくなるかのどちらかです。

昭和型の大企業に多いのが、決断の段階での「意思決定のタライ回し」です。

「あの役員は、どう言っているんだ?」

「皆がよいというなら」

「先に副社長に聞いてみてくれ」

決めないということも一つの意志決定です。しかし、それがどんな災いをもたらすかは、世間を騒がせてきた偽装問題、粉飾問題や大型倒産などに見てとれますね。どれも、意思決定の先送りがもたらした悲劇です。

また、そもそもの偽装問題や先の粉飾決算の発生自体は「間違った決定」による悲劇です。 ただ決めればよいというわけではないのは、当たり前のことです。

「決める力」のトレーニングは、何でも自分で決める癖をつけるところから始まります。それこそ、日常のあらゆるところで即決を自分に課すのです。自分なりの理由づけも忘れずに。

例えば、食事の際、「僕も同じものを」はナシです。なぜ自分はハンバーグを注文するのか、無理やりにでも理由をひねり出しましょう。「この店の名物だから」「給料日だから自分の好物を」「しばらく肉類を断っていたので」など、何でも結構です。

決断できる人とは、自分のなかに判断基準を明確に持っている人のことです。その基準を養うための、基礎トレーニングです。馬鹿らしいと思うかもしれませんが、侮るべからず。この癖が身についている人とない人とでは、部下や取引先などへの説得力が雲泥の差です。

問いを立てる「経営人材」とは、先の「やり切る」「まとめる力」の2つの力に加えて、「描く力」と「決める力」が抜群に優れている人材です。

学び続ける力「学習力・習慣化力」を持つ人材が最終的に買われる

そして残りの1つは「学び続ける力」。これは、この連載をお読みのような皆さんであれば既に充分に備わっていることでしょう。学習力であり、習慣化力ですね。

そもそもどのような仕事、事業、組織、経営にも、これで終わりという完成形はありません。時代ごとに変化や対応を求められます。なにがしかの責任を負う立場のミドルやシニアであれば、「日々勉強」を生涯、自らに課すことになります。おごらず、過去の成功に縛られず、あらゆる事象や世代から学び続ける力が求められます。言われたことだけをやるのであれば勉強不要かもしれませんが、一般に言われる通り、人工知能(AI)に駆逐されてしまうでしょう。

自分の専門性や経験を「方法記憶化」できるまで、徹底的に繰り返し反復する習慣化力が必要であることに私は気がつきました。これは意外に見過ごされている点のように思います。

できる経営者は、事業においてもプライベートにおいても、自分はまったく苦に思っていないのに、周囲から見ると「えーっ、そんなことを、そんなにやっているんですか?!」という驚きの習慣をいくつか持っていることが多いですね。自分が時間とお金を一番使っているところに、その人の持ち味、強みが潜んでいます。あなたが一番、時間とお金を使っていることは、何でしょう?

「描く力」「決める」「やり切る」「まとめる」「学び続ける」――。自らのこの「5つの力」を鍛え上げ、日々の業務で使いこなす。そして、令和時代に活力ある企業を、豊かで強い日本を「5つの力」を身につけたミドル、シニアの皆さんの手で創り上げていただきたい。心からそう願っています。

井上和幸

経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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