大畑大介さん ヒーロー演じて前向きに自分を客観視元ラグビー日本代表 大畑大介さんに聞く(下)

日経Gooday

大畑:それはないですね。落ち込んでいても何も変わらないので。そういう意味では、僕にはストイックな部分があり、周囲から指摘されたことは「それってどういうことなんだろう」と自問自答する。逆に「すごいね、今日も良かったね」と褒められても、その言葉をあまりうのみにしないようにしています。周囲の評価よりも自分の感覚を大事にしたいという思いがある。周りがどれだけ褒めてくれたとしても、自分の中で少しでも反省点があるプレーに対しては、厳しくいたいんです。

ヒーローを演じて自分を客観視する

――お話を聞いていると自分を客観視されていますが、若い頃からそれができたのはなぜでしょうか。

大畑:1人の時間が好きで、物事をずっと考えているような子供だったからでしょうか。あとは、バカなことを言っていると思われるかもしれないけど、「大畑大介のヒーローは大畑大介だ」と思っているんです。

「ラグビーをしている時だけは、理想の自分になれたんです」

つまり、ラグビーをしている大畑大介が、自分が幼い頃からなりたかった姿。人見知りだったけど、本当は輪の中に入ってみんなと仲良くなりたかったし(「大畑大介さん どんなストレスも軽くなる足し算思考」参照)、本当は素直になりたかった。そして、ラグビーをしている時だけは、みんなから必要とされる理想の自分になれました。

ラグビーをしている大畑大介を別人格のように自分で作り上げてそれを目指したからこそ、自分を客観視することができ、何度ケガをしても、周りが想像するほどつらいとは思わなかったのかもしれません。ヒーローはそんなことでへこたれないし、必ず復活しますから(笑)。

メンタルが弱い自分を受け入れ、ヒーローというフィルターを通して、何とか自分を変えようとしていたんだと思います。

――自分を客観視していたからこそプレッシャーもはねのけて、2006年にテストマッチ通算65トライという世界記録樹立を達成できた?

大畑:そうですね。さらに、「ヒーローはどのタイミングで世界記録を達成すると一番かっこいいかな」とも考えていました(笑)。そう考えると、プレッシャーも楽しめます。

――タイミングを重視するとは?

大畑:2006年は、6月にサッカーのワールドカップが開催される年で、それと同じ時期に世界記録を樹立しても、ワールドカップのニュースに埋もれてしまうと思いました。

5月14日の母の日に地元大阪の花園ラグビー場で試合があり、自分の背番号も14番だったので、この舞台で記録を樹立するしかないと思いました。世界記録までの残りのトライ数を数えると、14日での樹立はかなり厳しかったし、プレッシャーもたっぷりかかっていたのですが、「そこで樹立したらかっこいいだろうな」と成功した姿をイメージしつつ、試合の3カ月前、メディアに世界記録樹立の宣言をしました。

2006年5月14日、宣言通り、花園ラグビー場のジョージア戦で3トライを挙げました。テストマッチ通算65トライを達成・世界記録を更新し、イメージ通り、新聞の一面を飾ることができました。

2006年5月、ジョージア代表戦でテストマッチ通算65トライの世界新記録を達成し、胴上げされる大畑さん=共同

自分の体が欲するものを食べる

――現役時代から体づくりにおいてどんなことを心がけていましたか。

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