「若い人に外国に出て実力を発揮してほしい。世界のどこででも、日本人として活躍すれば、回り回って日本経済が強くなることにつながると思います。日本経済に関して、今は強気になれないので日本株は手掛けていませんが(笑)」
――具体的にはどんな学生を支援するのですか。
「米国で何を学びたいか、目的がはっきりしているのが最も大切な条件です。その条件を満たせば、アイビーリーグなどの名門大でなく、州立大でも大丈夫です。留学の目的を確認するため、必ず面接をします。応募者が日本にいて私が会えない場合は、立教大学観光学部の毛谷村英治教授に面接をお願いしています。毛谷村教授には、財団を創設する時からさまざまなアドバイスを受けてきています」
「奨学金を受給した人には、年度末の成績リポートを送ってもらいます。私たちの財団では成績が優秀なら大学卒業まで継続して支援しますが、振るわなければ翌年度の奨学金を見合わせる可能性もあります。これまで成績が悪いがゆえに支給を打ち切ったケースはありませんが」
理系学生への支援、引き続き強化
奨学金情報、入手の仕組みも必要
学生を送り出す高校教育の現場には、米大の学部への進学について、大学院への留学と比べて情報提供や奨学金制度の面でまだ遅れているとの声がある。さらに地方都市では、留学情報自体に接する機会も首都圏より限られているのが現状だ。立教池袋高校の後藤寛教諭は「日本の学生が米国へ出発する前に奨学金を得られるケースは少なく、保護者は国内の医学部クラスに進学するのと同程度の経済的負担を覚悟しなければならない」と話す。「米国の大学を受験する学生の多くは、合格通知を受けてから個々に奨学金制度を調べているのが実情だ。安心して受験できるように早くから奨学金情報を得られるような仕組みづくりも必要だ」と指摘している。
(松本治人)