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令和・平成・昭和をつなげ 「八王子ナポリタン」の旅 探訪!ご当地ブランド(3)

2019/5/11

「八王子ラーメン」へのオマージュである刻みタマネギと、八王子産食材へのこだわりが八王子ナポリタンの特徴

東京都八王子市。大勢の観光客が高尾山に向かった10連休前後、筆者は下界の飲食店へ通い続けていた。知人から「最近、『八王子ナポリタン』が街ぐるみで盛り上がっているようだ」との情報を得たためだ。

期せずしてトマトケチャップで有名なカゴメが昨年、昭和の日(4月29日)を「ナポリタンの日」に制定し、日本記念日協会から正式認定を受けている。連休返上のトホホ感は否めないが、昭和、平成、令和をまたぐナポリタンの小さな旅を楽しもう、と頭を切り替えることにした。

そもそも「八王子ナポリタン」とは何か。「八王子ナポリタン倶楽部」にメールで問い合わせると、岩見肇人会長(呑めるラーメン屋「百馬」社長)名で返信があった。(1)ご当地グルメ「八王子ラーメン」は、しょうゆ味のラーメンに刻みタマネギをのせたのが特徴だが、八王子ナポリタン(通称、はちナポ)はこれをリスペクトした。(2)八王子ナポリタンの条件は、刻みタマネギを使うこと、八王子産の食材を使うこと、の2つ。

同倶楽部は2014年2月22日に約30店の飲食店が加盟して結団式を行ったそうで、歴史はまだ浅い。だが、「ラーメンと違って、ナポリタンなら居酒屋、レストラン、カフェ、バー、移動販売車など様々な業態で提供でき、食べ歩いてもらえば街の活性化も期待できます」(事務局の宮沢美恵子さん)という理念を持っている。

「Kitchen Rocco」では和洋折衷の創作はちナポを提供している

4月下旬、JR八王子駅南口の「Kitchen Rocco(キッチンロッコ)」へ向かった。15年1月開業の店だが、店内はディナー客でごった返す。はちナポとの初見参だ。ビールでのどを潤しつつ、配管がむき出しでコンクリート打ちっぱなしの内装などを観察していると、十数分後に「お待たせしました」という声……。思わず目を見張った。

芸術的なまでに細かく刻まれたタマネギが、小さな富士山のように、赤い細麺パスタの上に鎮座する。タマネギに辛みがなく、むしろ甘い。ソースもケチャップ味だけで押し切るのでなく、デミグラスソース、味噌、チキンソース、ニンニク、オリーブオイル、チーズが交わった奥深い味わいだ。具材は八王子ベーコン、エリンギ、シメジ、赤と黄のパプリカ……。あっと言う間に食べ終えてしまった。もったいない。

後日、オーナーシェフの中野太郎さんに話を聞いて驚いた。「実は生タマネギもナポリタンもあまり好きじゃなくて、当初はメニューになかったんです。でも、ご高齢のお客さんも多く、『ナポリタンちょうだい』とよく言われたので裏メニューで出していました」

倶楽部に加盟したのは、近所の花屋さんからの誘いだった。「最初は1週間限定ではちナポをやらないか、という話でしたが、やる以上は抜群においしいものを作ろうと創作料理を出したら好評だったので……」。さらに17年3月にカゴメが主催する「ナポリタンスタジアム」の関東・甲信越地区大会に出場し、そこで敗退した悔しさが中野さんの闘志に火を付け、いつしか店の看板メニューになっていた。

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