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「うつ」と「うつ病」は違う 大事な受診のタイミング

うつ病との付き合い方、遠ざけ方(上)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

うつ病の人が増えている。社会生活や仕事が複雑なものになっていることに加え、以前よも精神科受診に対する心理的ハードルが低くなっていることも原因とみられている。誰でも耳にするうつ病だが、正確に診断し正しく治療することが難しい病気でもある。うつ病の正しい理解を日本うつ病学会理事長を務めた、六番町メンタルクリニック(東京・千代田)の野村総一郎所長に伺った。

◇  ◇  ◇

心の風邪……。うつ病に対するこんな表現を聞くくらい、いまやうつ病はポピュラーな病気だ。厚生労働省の患者調査によると、患者数は1996年の約43万3000人から2017年には約127万6000人と、21年間で約3倍になった[注1]。ひとりの人が一生のうちでうつ病にかかる率は7.5%というデータもある。つまり、うつ病は誰でもかかる可能性がある病気といえる。

風邪というと軽い響きだが、風邪をこじらせると肺炎になってしまうのと同様、うつ病も対応を間違うと慢性化し、最悪の場合は自殺につながることもある。決して侮ることはできない病気だ。

「うつ」は気分、「うつ病」は病気

うつ病の症状として「うつ」がある。うつは、挫折、心配、不安、失敗などが引き金になり気分が落ち込む状態である。うつ病は、単なるうつよりもはるかに強く、はるかに長く、はるかに大きい症状になる。「生きていることさえつらい」状態となり、生活や仕事に甚大な影響を及ぼすことになる。単なるうつのレベルであれば気分の問題だが、うつ病は病気だ(表1は、大まかな目安を示したもの)。

うつ病になると思考、知覚、認知も障害され、息苦しくなったり、発汗したり、手足がしびれ、食欲もなくなり、寝てもすぐに目が覚め、慢性的な睡眠不足の状態となる、いわゆる自律神経失調症の状態となることもある。

「他人との比較」が慢性化を招く

うつ病の原因はストレスや環境、遺伝要因などが複合的に関わると考えられている。発症にはホルモンやセロトニンなど脳内の神経伝達物質のバランスの乱れも関与することが知られ、薬物療法でそうしたバランスを維持することが治療に応用されている。男性より女性が多い理由の一つも、ホルモン分泌の変化が影響するためと考えられている。特に妊娠・出産などを契機に起こるうつ病にはホルモン分泌の状態が影響する。

うつ病は会社や社会でそれ相応の責任を負うようになった40歳代が最も多いが、これも、ストレスをうまく処理できず、自分の心にひずみが蓄積した結果と捉えることができる。

うつ病になっても自然に改善することもあるが、中には慢性化させてしまう人も少なくない。うつ病を含む心の病気が慢性化しやすい人の特徴として、野村所長は次の4つのパターンがあると指摘する。

[注1]うつ病、双極性障害(以前は躁うつ病と呼ばれていた)、気分変調症などを含む気分(感情)障害の患者数

【うつ病を含む心の病気が慢性化しやすい人の特徴】
 (1)劣等意識
 (2)被害者意識
 (3)完全主義
 (4)執着主義

「劣等意識」とは絶えず他人と自分とを比較して、自分が劣っていると思いがちな意識のこと。一方で、「被害者意識」が強い傾向もある。例えば、「職場が自分を理解してくれず、損をしている。本来はもっとできるはずだ」という感情だ。

さらに物事を完全に成し遂げたいという「完全主義」も顕著だ。このような人は自分にも厳しいが、他人にはより厳しい姿勢を取りがちだ。

「執着主義」は長所と短所が表裏一体となった性格だ。徹底的に、粘り強く、コツコツと丁寧に仕事をし、周囲の評価を得ている半面、他人の評価を気にしすぎ、頭がかたく、物事の重み付けが苦手で、融通が利かない点があり、結果的に自分を苦しめることになる。

こうした性格の持ち主に対して、野村所長は著書『人生に、上下も勝ち負けもありません』(文響社)の中で老子の教えを引いて「ノージャッジの勧め」を説いている。

「ノージャッジ、つまりジャッジしないこと。他人は他人、自分は自分と割り切って、比較する思考の習慣を修正することです。といっても、すぐにこのような考えを改めることはできません。治療に際して医師は、ノージャッジができるように患者自身と対話を重ねて、患者自身が半ば自発的に自分の思考に気がつくようにアドバイスしていきます。知的なリハビリテーションということができます」(野村所長)

仕事や生活に支障が出たら受診を

気分の落ち込みだけなら2~3日で治ることが普通だ。しかしうつ病になると、その間はひどくつらく、しかも長期間にわたって続くこともある。慢性化させると治りにくくなることも事実だ。

精神科や心療内科などの医療機関を受診するタイミングはどのような場合だろうか。野村所長は「仕事や学校、生活などに支障が出てくるようになったら、医療の助けを求めたほうがいいでしょう」と語る。「ひとりで我慢していると、考えが極端になりがちです。自分が十分な仕事ができないために会社が経営不振に陥るなどの妄想的な考えにとらわれてしまうこともあり、悲観するあまり自殺を考えることすらあります。このような状況に陥る前に医療機関を受診することをお勧めします」

表2に簡単な自己診断を紹介するので参考にしてほしい。

うつ病と見分けづらい病気もある。また、中には別の病気の治療のために服用している薬が原因というケースもある。心配になった際には専門医に相談することも大切だ。「診断名が違えば、治療法も変わります。適切な治療のためにも正しい診断が必要ですが、実はそう簡単なことではありません。個々の状況や性格的な傾向、経過などを見て判断します」と野村所長は指摘する。

次回「うつ病治療、医師との相性も大切 磁気など最新療法も」では、医療機関の選び方、最新治療の実際について紹介する。

(ライター 小崎丈太郎)

野村総一郎さん
六番町メンタルクリニック所長。1949年広島県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。藤田学園保健衛生大学(現、藤田医科大学)精神科助教授、立川共済病院神経科部長、防衛医科大学校精神科教授、同病院長を経て、2015年より現職。1985~87年に米国テキサス大学医学部、メイヨー医科大学に留学。日本うつ病学会第1回総会会長。『うつ病の真実』(日本評論社)、『入門 うつ病のことがよくわかる本』(講談社)など著書多数。

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