雑音から離れ心と向き合う茶道の魅力 森下典子さん書いた本・読んだ本(3)森下典子さん

『好日日記 季節のように生きる』を書いた森下典子さん 写真/洞澤佐智子
『好日日記 季節のように生きる』を書いた森下典子さん 写真/洞澤佐智子

ビジネスから離れた時間を、より愉しく豊かに過ごすための情報誌「日経おとなのOFF」から、新作を書いた作家にその作品の読みどころを聞き、合わせてよく読む本や最近読んだ本2冊についてコメントしてもらうミニコラムを転載します。今回は『好日日記(こうじつにっき) 季節のように生きる』の森下典子さんです。

◇  ◇  ◇

書いた本
『好日日記(こうじつにっき) 季節のように生きる』PARCO出版
約25年にわたって茶道教室に通い続けた日々を記したエッセーの続編。お茶を通して成長した著者が、茶室で二十四節気を味わいながら、自分の心と向き合う様子が綴られている。茶道具やお菓子を描いた味わい深いイラストは著者本人の手によるもの。

20歳で茶道を始めた著者の目を通じて、茶道の魅力を綴(つづ)った森下典子さんの『日日是好日(にちにちこれこうじつ)――「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』。黒木華さん、樹木希林さん出演による映画も話題となった。その続編となるのが『好日日記(こうじつにっき) 季節のように生きる』だ。小寒に始まり、冬至で終わるまで、二十四節気の移ろいが季節の喜びとともに綴られている。伝わってくるのは、茶道具に触れ、茶花や掛け軸を眺め、お菓子を味わって…と、五感で季節を味わう茶道の奥深さだ。

「習う前は、茶道教室はお茶の点(た)て方や飲み方を教わる場だと思っていましたが、実はそうではない。茶室に通う習慣をつけることで、自分の心と向き合える。人は生きている限り、将来の不安や過去の後悔といった感情から逃れられないけれど、そうした雑音をいったん止めることができます」

映画で樹木希林さんが演じた“武田先生”とは、40年以上にわたる師弟関係だ。

「先生が教えてくれるのは形だけで、『こう考えなさい』とは一切おっしゃらない。言葉ではなく作法を通じて、手を抜かないこと、ごまかさないこと、長い目で物事を見ること、を教わった気がします」

ビジネス書などの書評を紹介