神木隆之介の高杉くんシリーズ auの新たな人気CMに
2019年3月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する3月度の銘柄別CM好感度ランキング1位は4カ月連続でau。オンエアされたauのCMは11作品。高い好感度を獲得したのは「三太郎」シリーズだが、神木隆之介、松本穂香らが出演する「意識高すぎ!高杉くん」シリーズからも3作品を放送。いずれも好感度を得て、認知度を高めている。2月からは宮崎美子が高杉くんのおばあちゃん役で登場してシニア向けのサービスを訴求する新作も始まり、新しい展開が目を引く。
auのCMといえば三太郎シリーズが有名だ。3月度も、金太郎が0円学食にはしゃぐ「学食行列」編が最も高い好感度を得た。ユニクロのCMをパロディーにしたような、三太郎の日の特典を告知する「快適」編も好評だった。この三太郎シリーズとは別に、auでは2018年1月から高杉くんシリーズをスタート。現代を舞台に、意識が高い高校生の高杉くんを神木、同級生の松本さんを松本、高杉くんの幼なじみで何ごとにも細かい転校生の細杉くんを中川大志が演じている。
クリエイティブディレクターの篠原誠氏によると、「auのカタログが愛読書というちょっと変わったキャラクターが『意識高すぎ!高杉くん』です。auの商品情報を嫌味なく解説してもらうことを目的としており、演者の神木さんと松本さんのおかげで、少々無理な設定もアリなCMになっています。auのもうひとつのCM『三太郎』シリーズと相互に補完する関係で展開しております」。
2月からは宮崎美子がおばあちゃん役で登場。新作の「タイムスリップ写真」編では、10年前に2人で撮った写真と同じ構図で自撮りする、高杉くんとおばあちゃんの仲のいい姿が描かれる。篠原氏は「高杉くんのおばあちゃんが、イマドキな写真撮影やメール、電話とスマホを見事に使いこなす姿を通じて、『初スマホ安心サポート』と『60歳以上の方は国内通話料無料』を訴求しています」とCMの狙いを語る。
調査モニターのコメントは「おばあちゃんがかわいい」という声が圧倒的。「ストーリーがほのぼのしていて面白い」と、温かいテイストが共感をもって受け入れられているようた。CM総合研究所の関根心太郎代表は、キャスティングの妙を高く評価。「宮崎さんが演じることで、孫とデートするようなかわいらしいおばあちゃんというキャラクターがすぐに伝わります。スマホを使いこなしたり、新しいことにも挑戦するアクティブなシニア像が説得力を持って描かれていますね。神木さんや中川さんも、本来はイケメンですが、このCMではこだわりが強かったり、空気を読めないところがあったりと、今までのイメージとは違うキャラクター設定で、そこを新しく感じる方が多いようです」(関根氏)
今年に入ってからは、三太郎と高杉くんシリーズのキャストが共演するCMも登場。ひとつの企業が、複数のオリジナルキャラクターを同時に広告展開している強みを生かして、社内キャラクターのコラボを実現している。CM総研の関根氏は、そうした見せ方の多様な組み合わせと、そこでぶれない企業姿勢の一貫性がauの強さだとみている。
「ターゲットにあわせてシリーズを使い分けたり、逆にコラボしたり、同じシリーズの中でもテーマに変化を持たせたりと、いろんな表現の幅を持っています。どうすれば見る人が面白く受け止めるのかを、よく考えて丁寧に作っているのが、長い間、CM好感度の上位をキープしている理由のひとつだと思います。そのなかで共通するのが、人と人とのつながりを大切にするテイスト。高杉くんとおばあちゃんの仲のいい姿は、温かい人間関係を描いた三太郎のメッセージをしっかり踏襲しています。企業としてのメッセージが一貫しているのもauらしいところです」(関根氏)
デジタルメディアとの親和性
高杉くんシリーズの今後という点では、篠原氏はデジタルメディアにも可能性を感じているようだ。「ユーチューバーに高杉くんがなっているようなストーリーをウェブ動画で流したり、『意識高すぎ!高杉くん』のフレームはキャラクター設定がしっかりしているので、メディアを選ばず展開しやすい。ツイートなど見ていても、三太郎よりもデジタルメディアとの親和性が高いように感じています」(篠原氏)
auの高いCM好感度を支える三太郎シリーズを補完する形で、存在感を増してきている高杉くんシリーズ。新たな人気シリーズとして、どう育っていくか楽しみだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2486銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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