要点3 蔑視や特別視をせず、“違い”を面白がる

健常者は障害者に対して、サポートすべき、情報を与えるべきといった「福祉的な態度」に縛られがち。また、「見えない人の聴覚や触覚は特別に優れている」という神聖視も、無意識のうちに根底に蔑視があったり、視覚障害者の持つ多様性を覆い隠したりしかねない。好奇心、つまり「そっちの世界も面白い」という立場に立てば、お互いの違いを対等に語ることができ、より深い人間関係を築けるし、障害に新しい社会的価値を見いだすこともできるはずだ。

要点4 ユーモアは社会を生き抜くための武器

見えない人にとって、社会は自分の体に合うようにつくられておらず、不自由さを強いられることもしばしば。そんなとき、見えない人が時として使うのがユーモア。現実を超越した視点に立ち、厳しい現実に置かれたプレッシャーを上手にかわすのだ。また、ユーモアは健常者が障害者に持つ心のバリアをほぐし、お互いの差異を尊重するコミュニケーションの入り口に立たせてくれる。

要点5 来(きた)る超高齢社会では誰もが障害を抱える

日本は今後、どの国も経験したことのないような超高齢社会に突入する。高齢になれば、誰もが多かれ少なかれ、なんらかの障害を負うことになる。いわば、身体多様化の時代を迎えるのだ。そのなかではお互いの体の在り方を知ることが不可欠。また、障害を壁と捉えず、皆で引き受けることで、コミュニケーションを変えたり関係を深めたりする。そんな知恵がますます必要になってくる。

(嶌陽子)

[日経ウーマン 2019年3月号の記事を再構成]

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)

著者 : 伊藤 亜紗
出版 : 光文社
価格 : 821円 (税込み)

ビジネス書などの書評を紹介