職場の人付き合いや手順の変化もつまずきの原因に
敗因その3 人間関係の構築に苦労する
中途採用者の入社初期は、もともといる従業員にとっては異物です。人間関係を構築するのはただでさえ難しいのは当たり前です。これまでの社会人経験で身に着けた考え方、習慣にしがみつかずに、まずは「郷に入れば郷に従え」という教えを徹底的に実行して、その後、経営や上司からの意思も勘案しながら、うまく立ち回っていきたいものです。
敗因その4 これまでの経験が思うように生かせない
仕事内容や責任範囲は事前に確認しているものの、サポート体制や、責任範囲の業務の進め方が違って、学び直さなければいけないことが多くなってしまい、「即戦力としての期待に沿えない」と、自信をなくしてしまう人もいます。内定さえ決まったら、人事だけでなく、上司や同僚や部下になる予定の人たちからも入社前に話を聞き、仕事の進め方イメージを固めておきたいところです。
敗因その5 会社の風土になじめない
仕事内容がフィットしていて、条件に問題はなくとも、一緒に働く人たちと価値観や考え方が違うと、どんなにタフな人でも、多かれ少なかれ心の中に孤独感や罪悪感が生まれ、心理的にダメージを受けてしまいます。希望の条件に近い仕事で内定を得ると、気持ちが高揚して楽観的になってしまいがちですが、実際に仕事を始めたら、近しい関係になる人とのカジュアルミーティングの設定を依頼するなど、風土を知る機会を作ることも重要です。
転職失敗の背景にある「環境落差」
転職による心理的満足度は、単に自分の経験やスキルと募集企業側のニーズがかみ合ってマッチングが成立したことだけでは推し量れません。
特に、10年、20年と一つの会社の中でキャリアを積み上げてきた人がその環境を最初に離れる初回の転職においては
2)事業が目指す方向性や仕事に求める価値観が近しい「風土環境」に適応している
3)仕事の進め方や役割ごとの業務範囲定義が安定した「執務環境」が前提になっている
という三重階層の「慣性の法則」に、知らず知らずのうちに縛られていることが、見えない壁となって心理的な違和感を増幅させてしまうことが多くあります。