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マニュアル10分の1 余計な仕事削減 ファミマ社長 ファミリーマート 沢田貴司社長(上)

2019/5/8

沢田貴司氏 81年(昭56年)上智大理工卒、伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社、98年副社長。02年にファストリ退社後、企業支援会社のリヴァンプなど設立。16年ファミリーマート社長。石川県出身(写真: 稲垣純也、以下同)

24時間営業の問題で注目を集めるコンビニエンス業界。ファミリーマートでは2016年に沢田貴司社長が就任以来、次々と業務改革を手がけています。現場でレジ打ちまで体験した経営者がコンビニエンスストアの働き方改革にどう取り組んでいくのか、沢田社長にお聞きしました。

■自らレジに立って気づいたこと

白河桃子さん(以下敬称略) 沢田社長は16年9月のサークルKサンクスとの統合の際にファミリーマートの社長に就任され、以来、業界に先立つ改革を次々と進めていらっしゃいます。私が審査員を務めている「エイジョカレッジ(企業から選抜された営業職女性による、コンテスト形式の研修プログラム)」に参加されたファミマチームの女性たちも、本当にイキイキとされて、プレゼンテーションも素晴らしかったです。

沢田貴司さん(以下敬称略) それはよかったです。ダイバーシティー推進の最終的な目的は「お客様への付加価値を高める」ことですが、結果的に社員の働き方の効率化や生産性向上にもつながると期待しているところです。

白河桃子さん

白河 沢田社長は「現場の働く環境を大切にする。そうでなければ勝てない」とよくおっしゃっていますね。人手不足や高機能化が進むコンビニ業界で、実際にどんな取り組みをなさっているのか、そのベースとなっている考え方はどういうものなのか、今日はお聞かせください。さっそくですが、「現場主義」を徹底するため、ご自身も店舗研修を受けてレジに立つこともされたのだとか。これは社長就任時のことですか?

沢田 社長に就任する前に現場のことを深く理解したいと思い、店舗研修を行いました。

白河 コンビニレジに立ってみたことで、どんな気づきがありましたか?

沢田 「現場は分からないことだらけ」という気づきですね。例えば、接客マニュアルには、「30度のおじぎをする」ことや「会計時にレジにお客様の性別・年齢を打ち込む」こと、あるいは「ありがとうございました。またお越しくださいませ」といった接客用語の一言一句に至るまで、すべて決められて記載されている。その一つひとつに対して、「そもそもなぜこれをやらなければいけないのか」という疑問を素直に持ちました。

白河 異業種経験が豊富な沢田社長からすると、まか不思議な習慣だらけだったのでしょうか。そして、それが生産性を落とす要因とも思えたのだと。

沢田 めちゃくちゃ思いましたね。本部から店舗に納品された販促物が、どの売場に取り付けるものなのかも分かりにくく、現場にものすごい負荷をかけていると痛感しました。なぜ、ここまで放置してしまったのかといらだちを感じたほどです。

■全部ぶっ壊さないといけない

白河 コンビニの普及と共に、コンビニが請け負うサービスもどんどん増えてきて「多機能」が求められます。消費者としては便利ですが、働く人にとっては負担が増えていくばかりなのかもしれないですね。

沢田 業務の足し算ばかりで、引き算が全然なかった。これでは現場が疲弊するだけだと気づき、「一度、全部ぶっ壊さないといけないな」と感じました。

白河 コンビニの業務ってかなり緻密に標準化されたものと思っていたのですが、決してそうではなかったのでしょうか。

沢田 他社のことは分かりませんが、ファミリーマートの場合は経営統合を繰り返して成長してきた会社ですので、マニュアルも単純に足し算を重ねる一方だったのだと思います。だって、マニュアルが全1600ページ、宅急便の説明だけで100ページあったんですよ(笑)。そんな分厚いマニュアル、パートやアルバイトの皆さんが主力の現場で一人ひとりが読んでくれるわけがないじゃないですか。ちょっと考えれば分かる非合理・非効率が放置されたままだったのが事実ですね。

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