ワーママの時短コーデ 「軸ボトムス」で毎日おしゃれ
「クローゼットはパンパンなのに着る服がない」「育児と仕事に追われて、服のことを考える余裕がない」「断捨離したいけど、捨てるべきものが分からない」――。ワーキングマザー(ワーママ)によくある悩みではないでしょうか。「クローゼット向上委員会」という名称で、多くの悩める女性の個人コンサルティングを行っている「ミランダかあちゃん」こと輪湖もなみさんに、毎日の服選びが時短になり、かつ楽しく、自分に自信が持てるようなワードローブづくりについて聞きます。
「たまにおしゃれ」な人より、毎週同じ服だけど「いつもおしゃれ」な人に
―― 子育て期だと、仕事や家事・育児に忙しくて、服のことについて考える時間が割けません。
輪湖 自分もそうだったので、よく分かります。いろいろなショップをのぞいて、服を買い回る時間なんて取れませんよね。
―― しかも、年齢を経ると、自分が似合う服も少しずつ変わってきますよね。
輪湖 それもありますね。その点については、おいおい説明しましょう。
まず、私がよく皆さんに聞いている、大前提の質問があります。「いつも同じコーディネートなのは恥ずかしい」と思っていませんか?
―― うーん。一つの服をいろいろなコーディネートに活用して、さまざまに着回せるほうがいいイメージはあります。「こんなアイテムで1カ月着回し!」みたいな女性誌のページもよく見かけますよね。
輪湖 いつも違うコーディネートで「たまにおしゃれ」な人より、毎週同じ服を着ているけれども「いつもおしゃれ」な人のほうがよくないですか? 「100%エブリデイおしゃれ」な人のほうがかっこいい印象があると思います。
―― 確かに……そうかもしれません。
輪湖 そうやって考えると、例えば、月曜日から金曜日まで勤務しているなら、本当は最低5パターンの服があればいい。その時期に、自分に本当にぴったり合う5パターンがあればいいと思えば、気が楽じゃないですか?
―― そうですね。5パターンなら、それほど難しくなさそうです。
輪湖 皆さんおそらく、仕事や育児、子どもの教育などに関わることは、自分の中できちんと整理して、自分が大切にしたい軸を決めていらっしゃると思います。同じように、ファッションでも軸を決めてしまえばいいんですよ。
自分に一番似合う「軸ボトムス」を決める
輪湖 服はある意味、名刺と同じです。30~40代になれば自分を知ることはできると思いますし、自分のスタイルをぜひ知ってほしいと思います。反対に、スタイルがコロコロ変わることは、ちょっとふわふわして見えてしまう危険性もあるぐらいだと思います。
―― 具体的にはどうすればいいのでしょうか。
輪湖 いろいろなアプローチがありますが、一番簡単なのは「軸ボトムス」を決めることですね。
頑張って見直す日を一日設定しましょう。そんなに長い時間をかけられないでしょうから、まずは今のシーズンに着られるものだけでいいので、自分の持っている服をいったん全部出して山積みしましょう。それから、ひたすら分けます。ここで注目すべきは、それぞれの服の「型」です。
―― 型とは?
輪湖 例えば、ボトムスなら、大きくパンツ、スカートと分けられますが、大切なのは、それぞれの型を見ることです。同じスカートでも、ロングのフレアスカートとタイトスカートでは型もボリュームも異なりますし、同じパンツでもワイドパンツと、スリムパンツでは違いますよね。似た型のものを集めて、ひたすら分けます。
そうやって型を分けて「棚卸し」していると、自分の傾向みたいなものが見えてくると思います。おそらく自分がはきやすい型のものをたくさん持っている人が多いかなと思います。
すべて分けたら、鏡の前で全部のボトムスをはいてみて、どれが一番自分に似合っているか確かめます。自分に一番似合う型のボトムスを「軸ボトムス」と決めましょう。私はそういう服を自分の「一軍」と呼んでいます。
「A」型、「Y」型、「I」型、バランスよく見えるルール
―― どの型が自分にぴったり合っているか、どうやったら見極められますか?
輪湖 なかなか難しい点ではあるのですが、それを着ていると「よく褒められる」「自分のテンションが上がる、気分がいい」「生活していて快適」などが当てはまるかどうかでしょうか。自分の好みと体形、生活スタイルが関係します。例えば、自転車で子どもを送迎している期間は、いくらロングのタイトスカートが似合っていて大好きでも、快適に暮らせないかもしれませんよね。
―― 体形も判断が難しいですよね。
輪湖 正直言って、スタイルの抜群な人は、何を着ても似合います。でも、それ以外の人もバランスよく見えるルールが、ちゃんと存在します。
まずは「A」型。上がコンパクトで、下にボリュームを出す。反対に上にボリュームを出し、下をコンパクトにする「Y」型。後は、上下を同じぐらいのボリュームにそろえてまっすぐにする「I」型。
そのルールにのっとれば、もし自分の軸ボトムスが、フレアスカートであれば上はコンパクトにして、常にA型になるようにすれば、すてきに見えます。反対に軸ボトムスがスリムパンツであれば、上にボリュームを出してY型にすればいいと思います。
―― つまり、自分の軸ボトムスの型が決まれば、バランスよく決まるトップスはおのずと決まってくる、ということですね。
輪湖 そうなんです。もしきちんとした格好を求められる職場であれば、コンパクトなジャケットを選べばいいし、カジュアルなら、コンパクトなニットでもライダースジャケットでもいい。型が決まっているので、合うトップスも選びやすいと思います。
―― いろいろな型のトップスやボトムスが混在したクローゼットになっていて、それを毎回違う組み合わせで着回そうとするから、どれを着るべきか選べなくて混乱するんですね。なんだかすごく合点がいきました。それで5つのベストな組み合わせを作っておく、と。
輪湖 ごく簡単にいうとそういうことになります。その5パターンは、クローゼットの一番手の届きやすい、真正面に置きましょう。それだけでも毎日の服選びが時短になり、生活がかなり快適になるはずです。
ファッションプロデューサー、ファッションブロガー、リメイクデザイナー。有限会社モナミアンドケイ代表取締役社長。大手アパレルのワールドに16年勤務し、専門店販売指導、店舗管理に携わる。アパレル時代の現場経験と、自身のセンスを生かして2016年から始めたブログ「ミランダかあちゃんのスタイルレシピ」がおしゃれに悩む大人女性に人気を博す。著書に『「いつでもおしゃれ」を実現できる幸せなクローゼットの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
(取材・構成 小林浩子=日経DUAL編集部 写真提供 輪湖もなみ)
[日経DUAL2019年2月22日付の掲載記事を基に再構成]
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