結核は過去の病気? グローバル化でアジアからも流入
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)米国と同じぐらい
(2)米国の約1/5程度
(3)米国より約5倍多い
正解は、(3)米国より約5倍多いです。
毎年1800人が死亡! 古くて新しい「結核」
幕末の高杉晋作や小説家の夏目漱石、俳人の正岡子規など、結核を患った歴史上の人物は数多くいます。そのため、結核は一昔前の病気というイメージが強い人もいるでしょう。
戦後間もない1950年ごろは、年間60万もの人が結核を発病していました。それが今では1万8000人に激減しています。死亡者数も、年間12万人から1800人に減りました[注1]。この数字だけを見れば、結核は過去の病気に見えるでしょう。しかし、世界からすると、日本は結核が少なくない「中まん延国」という位置づけです。
国立国際医療研究センター病院呼吸器内科の高崎仁氏は、「ほかの先進国と比べると、日本にまだまだ結核が多い理由は、高齢者の発病が今なお絶えないからです」と解説する。
高齢者の多くは、世の中に結核がまん延していた若いころに感染したまま、今も菌が体内に眠っている可能性があります。病気などを契機に免疫力(抵抗力)が落ちると、休眠中の菌を抑え込めなくなって発病しやすくなるそうです。そのため、新たに発病する結核患者の半数は70歳以上です。
一方で、若い世代への結核対策も必要です。その理由はグローバル化です。アジア圏には日本以上に結核の罹患率が高い国が多く、そこから日本を訪れる若者がたくさんいます。彼らが母国で結核に感染して来日し、発病すれば、職場や学校で一緒に過ごす若い日本人の間にも集団感染が広がることが懸念されます。実際、20歳代で発病した日本国内の結核患者は、外国出生の人が半数を占めているそうです。
結核の特徴は長引く咳(せき)で、発熱や痰、血が混ざる血痰も伴います。何となくだるい、食欲はあるのにやせてしまう、体調が悪いが休むほどではない、寝汗がひどい、といった軽い症状しか出ないこともあります。ポイントは、症状の重さより、咳が長引いているかどうか。2週間以上咳が続くなら受診が必要です。
[注1] 厚生労働省「平成28年結核登録者情報調査年報」
[日経Gooday2019年4月15日付記事を再構成]
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