10連休、高速渋滞は分散傾向 4月27~29日に注意
編集委員 小林明
4月27日から待望のゴールデンウイーク(GW)が始まる。今年は改元に伴い、27日から5月6日までの10連休と長期休暇になるのが特徴。行楽や帰省などで国内の高速道路を利用する場合、どんな点に注意したらよいのだろうか? 高速道路各社(東日本、中日本、西日本、本州四国連絡高速道路など)の予測を踏まえ、2019年の「傾向と対策」を探ってみた。
移動の選択肢増え、ピーク時の回数は減少
まず全体の動向をつかんでおこう。
今年は昭和の日(4月29日)、憲法記念日(5月3日)、みどりの日(5月4日)、こどもの日(5月5日)に加えて、皇太子さまが新天皇として即位される5月1日が1年限りの祝日となるほか、祝日に挟まれた前後の4月30日と5月2日も休日になり、10連休を取れる人が多いようだ。
「通常は平日を挟んだ前半と後半の連休に分かれてしまうが、今年は移動日の選択肢が増えるので、特に長い高速渋滞がやや分散する傾向がある」(東日本高速道路)と分析する。全国の高速道路の予測段階の10キロ以上の渋滞発生回数をみると、下り線のピークは5月3日(37回)、上り線のピークは5月4.5日(ともに43回)。昨年の予測段階である下り線のピーク5月3日(62回)、上り線のピーク5月5日(51回)をそれぞれ大きく下回った。
長期休暇を生かすため、出発日は早まる傾向に
ただ連休序盤に限ると、予測段階の渋滞回数は昨年より増える傾向もある。「なるべく長期の休みを生かすため、移動の出発日を早める利用者が増えると予測している」(中日本高速道路)からだ。このため、今年は下り線の4月27~28日、上り線の4月27~29日に移動するのも注意した方がよいだろう。もし可能なら、10連休の中盤に移動すると、深刻な渋滞を避ける可能性が高まることになる。
下り線は「相模湖IC」「土岐JCT」で各2回
次に全国の具体的な渋滞発生箇所を分析してみよう。
上に掲載したのは、GWに全国の高速道路で発生するとみられる30キロ以上のすべての渋滞を網羅した一覧表である。下り線では計6回、上り線では計11回発生する見通し。10連休による渋滞の分散効果の影響で、昨年の発生予測である下り線計11回、上り線17回を大きく下回っており、例年より渋滞に巻き込まれにくい状況になっているのが分かる。
下り線では中央自動車道の「相模湖IC」「土岐JCT」でそれぞれ2回発生すると予測。特に4月27日、28日の「相模湖IC」、5月3日の東北自動車道の「羽生PA」で最長の40キロ渋滞が発生する見通しなので気を付けた方がよいだろう。
上り線は「加須IC」「高坂SA」で各3回
一方、上り線では11回の渋滞のうち8回が5月4日と5日に集中する見通し。序盤の下り線・上り線に加えて、終盤の上り線の移動でも、ルートや時間帯などの選択で様々な知恵を絞った方がよいようだ。東北自動車道の「加須IC」、関越自動車道の「高坂SA」でそれぞれ3回、中央自動車道の「小仏TN」で2回発生すると予測。特に5月5日の「加須IC」では最長の40キロ渋滞が発生する見通しなので注意が必要だ。
中日本高速道路によると、新名神高速道路の新四日市―亀山西の両JCTを結ぶ約23キロが3月17日に開通した効果で、東名阪自動車道の慢性的な渋滞はかなり解消しているという。
最後に下り線の「相模湖IC」(4月28日、40キロ)、「羽生PA」(5月3日、40キロ)、上り線の「加須IC」(5月5日、40キロ)、「小仏TN」(5月5日、30キロ)の具体的な渋滞回避例を紹介しておこう。
◆下り線の「相模湖IC」(4月28日、40キロ)――通常だと約30分で通過できるところ、6~11時のピークだと約2時間かかると予測。もし「高井戸IC」を同日の5時以前または17時以降に通過すれば所要時間は約35分で済むとみられる(同日の13時前後に通過すれば所要時間は約1時間30分)。「相模湖IC」では2キロ手前の上り坂に差し掛かるサグ部で無意識に速度が低下し、渋滞発生の原因になりやすいので、周囲の車両に注意しながら速度低下しないように運転することを心がけたい。
◆下り線の「羽生PA」(5月3日、40キロ)――通常だと約25分で通過できるところ、8~10時のピークだと約1時間30分かかると予測。もし「川口JCT」を同日の6時以前または14時以降に通過すれば所要時間は約30分で済むとみられる(同日の7時または12時ごろに通過すれば所要時間は1時間弱)。「羽生PA」では上り坂に差し掛かるサグ部で無意識に速度が低下しやすいので、標識の指示に従いながらクルマの速度を落とさないように注意したい。
◆上り線の「加須IC」(5月5日、40キロ)――通常だと約25分で通過できるところ、17~19時のピークだと約1時間20分かかると予測。もし「栃木都賀JCT」を同日の14時以前または23時以降に通過すれば所要時間は約30分で済むとみられる(同日の16時または20時ごろに通過すれば所要時間は1時間強)。「加須IC」付近では緩やかな勾配変化が続くので、無意識のうちに速度が低下しないように気を付けて運転した方がよい。
◆上り線の「小仏TN」(5月5日、30キロ)――通常だと約25分で通過できるところ、16~19時のピークだと約2時間かかると予測。もし「大月IC」を同日の10時以前または翌1時以降に通過すれば所要時間は約30分で済むとみられる(同日の14時または21時ごろに通過すれば所要時間は約1時間30分)。「小仏TN」付近は長い上り坂が続き、トンネル部も重なるので渋滞が発生しやすい。周囲のクルマに気を付けて、速度低下しないように運転したい。
当日の交通状況は天候や事故、イベントなどによって複雑に変化するので気象情報やニュースなどはこまめにチェックした方がよいだろう。また食事や休憩の時間を使ってピーク時の移動をうまく避けるなど、他のドライバーとなるべく違う行動を取るように移動することも大切だ。
(日本経済新聞 編集委員 小林明)
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