激安スポーツ用品ずらり 仏発「デカトロン」の正体

ヒットの秘訣は、ブランドごとに愛好家が多く集う場所に開発本社を構え、自らスポーツ愛好家の社員が試しながら商品を開発する手法だ。ケシュアは、アルプス山脈の麓にある仏サランシュに店舗併設の研究開発センターを構え、約150人のスタッフが在籍する。トリボードやスベアはサーフィンの中心地として知られる仏バスク地方の港町アンダイエに本拠を置く。

愛好家集う場に開発本社置く

一方、製品開発のプロセスは全社で一元管理しており、世界規模で材料を大量に仕入れ、縫製や製法の見直しによりコストダウンを図る。

例えば、ケシュアのバックパック(10リットル)は10年間の耐久性を保証しながら300円台で手に入る。底面に衝撃吸収構造を取り入れたウオーキングシューズは1990円から。1時間200ミリメートルの豪雨に耐えられる遮熱遮光テントも3000円台からと値ごろだ。

デカトロンは拡大路線をひた走る。01年にはブラジルのサンパウロ進出で南米に上陸。03年に中国・上海に店を構え、15年にタイのバンコク、16年にシンガポールとフィリピン、18年には韓国に1号店を出した。今や全世界で10万人以上を雇うグローバル企業となった。日本はアジア最後発に近いように見えるが、実は日本法人の「デカトロンジャパン」は93年の設立。当初は工場へ卸す資材調達がメインの拠点だった。

その後、釣り具やアウトドア用品のネット通販を手がけていたナチュラム(大阪市)と11年に業務提携して流通の足場を築き、まずケシュア商品から販売を開始。15年には日本向けのオンラインストアを開設した。さらに17年に大阪市内にショールームの「デカトロンラボ」を開業するなど、少しずつ準備を進めてきた。一気に日本へ攻め込み、撤退した仏大型スーパー「カルフール」とは対照的だ。

日本1号店の西宮店は広さ約1800平方メートル。海外の旗艦店のように80ジャンル以上の多彩な商品をそろえるとまではいかないが、キャンプやハイキング、ランニング、サイクリングなど30ジャンル以上の自社商品を展開する。

店内にはヨガやフィットネスの体験ゾーンや、シュノーケリングマスクの体験コーナーを設け、イベントを定期開催する。まず狙うのは家族で楽しめる店づくりだ。

(発売中の日経トレンディ5月号から再構成)

[日本経済新聞夕刊2019年4月13日付]