史上最大のティラノサウルス ゾウより重い約9トン

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/4/22
ナショナルジオグラフィック日本版

1991年に発掘された史上最大のティラノサウルス「スコッティ」の想像図。生きていた当時の体重は8.85トンと推定されている(ILLUSTRATION BY BETH ZAIKEN, THE ROYAL SASKATCHEWAN MUSEUM)

カナダで見つかった恐竜化石が、これまでで最も重いティラノサウルス・レックス(Tレックス)であることがわかった。体重は推定8.85トンで、現在のゾウより重かった。

2019年3月21日付けで学術誌「Anatomical Record」に発表されたこの化石は頭と尻の完全な骨、肋骨と脚の骨、尾骨の一部を含む約65%の骨格から成る。ニックネームは「スコッティ」。推定28歳以上と、この恐竜としては高齢だ。

気楽な28年ではなかった

約6800万年前、スコッティが暮らすカナダは楽園のような亜熱帯の海岸だったが、スコッティの生涯はバカンスとは無縁だった。この恐竜の化石には、肋骨が折れて治癒した痕跡、2本の歯の間で異常に成長した骨、尾骨を骨折した痕跡が残されていた。歯の間にある骨は感染の証拠、尾骨はほかのティラノサウルスにかまれたものとみられる。

「これらの傷跡を見る限り、たとえ肉食恐竜の王者でも、気楽な暮らしではなかったようです」と、米デトロイト・マーシー大学の古生物学者ニザール・イブラヒム氏は語る。氏は今回の研究に関わっていない。

今回の発見が示唆しているのは、大型肉食恐竜が思いのほか長生きし、体も大きくなったらしいことだ。絶滅した恐竜の中でも、Tレックスは最も標本が多い種の一つであり、20以上の個体の化石が発見されている。

研究を率いたカナダ、アルバータ大学の博士研究員スコット・パーソンズ氏は「ほかの獣脚類でも、標本が増えれば、スコッティのように大きくて高齢な個体が見つかるでしょう」と話す。「さらに体の大きい標本が見つかっても、私は驚きません。ほかの獣脚類がTレックスと肩を並べていた可能性、Tレックスを超えていた可能性は十分あります」

立派な太ももをもっていた

スコッティは1991年、カナダ、サスカチュワン州で発掘され、古生物学者の間では存在を知られていた。Tレックスを発見した研究者たちが乾杯しようとしたところ、ちょうど発掘調査のシーズンで、現場にはスコッチウイスキーが1瓶しかなかった。これがスコッティという愛称の由来だ。

しかし、スコッティの全貌がわかるまでに20年以上を要した。巨大な骨が硬い岩に閉じ込められており、取り出すのに苦労したためだ。スコッティがようやく自由の身になったのち、パーソンズ氏のチームが年齢と大きさを導き出した。

骨の断面は、驚くほど頑丈な構造であることを示唆している。28歳前後で死んだと推測される別のTレックスの骨とよく似ている。体の大きさの決定的な手掛かりとなったのは大腿骨だ。

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