自分しか語れないメッセージは プレゼンに勝つ第一歩一橋大学名誉教授 石倉洋子(4)

あなただけが知っていること、あなたの経験やストーリーを語ること、それもあなたの一番やりやすいスタイルですることが一番だと思うのです。

スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションが優れているからといって、あなたがそれをただマネしても、借りてきた猫のようになってしまいます。ジョークを言ったり、笑いをとれたりする「さすが」というプレゼンテーションができる人のようにやろうと思っても、あなたがいつもジョークを言う人でなく、どちらかというとユーモアが得意でないのなら、自分らしくなく、板につかないことになってしまいます。

エネルギーやパッションが伝わるような話し方

プレゼンテーションを考える場合、どんな場なのか、どんな内容を期待されているのか、ほかに誰がプレゼンテーションをするのか、などを考え、十分に分析した後で、「自分らしい、自分しかできないユニークなメッセージは何か」を考えます。

ただし、「自分らしい、ユニークな」といっても、誰も興味を持たない内輪の話であれば、プレゼンテーションをする必要はありません。自分しか語れない話が聞いている人にどう関係するのか、をよく考え、何らかの意味を伝えるのです。

メッセージとともに、どんなストーリーを展開するかを考えます。その時に自分の経験や事例をちりばめると話が生き生きとしてきます。辛かったことを思い出して、感極まることもあるかもしれません。いかにもプロ! という感じでなくてもよいと思うのです。

どんなスタイルでするかにも「自分らしさ」が大切だと私は思います。自分の話をしている時、自分が興味を持っていること、情熱を傾けていることを話している時、人は誰でもとても目が輝いていて生き生きしています。聞いている側にも、話し手のエネルギーやパッションが伝わってきます。

自分らしいストーリーを自分らしいスタイルで語る。そして、聞いている人が何か考えたり、感じたりするメッセージを残す。これができればプレゼンテーションは成功だと思います。

形や見せ方にこだわらず、自分らしいメッセージを自分らしく伝えるところから始めてはいかがでしょう。「私だけ」が知っていること、自分自身の経験を話せば、ほかの人がマネすることができない、世界でただ一つのスピーチになります。

石倉洋子
一橋大学名誉教授。1949年生まれ。71年上智大卒業し、フリーの通訳などを経て米国で経営学修士号(MBA)と同博士号(DBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で企業戦略のコンサルティングなどを手がけた後、青山学院、一橋、慶応義塾の各大学・大学院で教授を歴任。専門は経営戦略やグローバル人材。資生堂などの社外取締役も務める。

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