「いまや、若い世代はバックパック、トートバッグ、ハンドバッグなどを使い始めていて、それが売り場にも大きく影響しています。日本やイタリアの店舗では、自分のためのバッグを求める男性が増えています。とはいえやはり、保有するバッグの多様性に関しては日本が先行していますが」
――今回、日本限定でトートバッグを発売します。
「ケーヴァルトートは防弾チョッキやヨットの帆に用いられる、耐久性がある米航空宇宙局(NASA)で使われる軽量素材、ケーヴァルで作っています。トートタイプに採用するのは初めてです」
「旅行やジムに出かける、PCやモバイル端末を持ち歩くなど、現代人のライフスタイルを反映して、日常的に大きくて丈夫で軽いバッグへの需要が高まっているのです。ですから革ではなくて、ヴァレクストラの印象を残せるデザインを考えて、この素材を使いました。この素材は汚れにくくて快適。男性にも好まれるのではないでしょうか」
■新しいムーブメントが市場に影響
――ほかにも男性が好むものではどんなバッグがありますか。
「セリエエス。最初は1961年に男性用として発売し、69年に小さめの女性用を出しました。このコレクションはドクターバッグからヒントを得ているほか、建築やデザインの革新を起こった50~60年代の影響もあるデザインです。このほど復刻し、ミディアム(39万5000円)とミニ(33万5000円)の2サイズを販売します。この構築的なデザインは小さなサイズであっても、男性も興味を持つと思います」
「セリエエスが出た60年代はヨーロッパで学生運動や女性の権利獲得の運動が盛り上がっていました。それに対していまは新しいムーブメントとして、ジェンダーフリーが起きています。バッグの需要も変化する時代にきていると感じています」
――ミレニアル世代に向けてヴァレクストラはどのようなアプローチをしていきますか。
「彼らデジタル世代はコミュニティーに重要性を置き、会話することを求めています。デジタルを駆使し、一人ひとりに合ったコミュニケーションをしていきます」
(聞き手はMen’s Fashion編集長 松本和佳)

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