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新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミスト

新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミスト

「予測の達人」の異名も持つ第一生命経済研究所・主席エコノミストの新家義貴氏(44)の信条は、「言い訳をしない」。それは、中学・高校と6年間通った広島学院(広島市)時代に打ち込んだ将棋を通じて学んだことだった。さらに新家氏には、もう一つ、母校の先生の忘れられない言葉がある。

「人の予測には限界がある」と先生から教えられた。

高校時代、ある先生が授業中、みんなに話して聞かせた何気ない人生訓が、今でも頭の中に残っています。それは、次のような話でした。

「就職する時は誰しも、この会社に入れば将来も安泰だろうと、その時に絶好調の会社に入りたがるが、その会社が20年、30年先も好調かといえば、現実にはそうでないことのほうが多い。自分の若いころもそうだったし、そのときに絶好調の会社に入り、あとで苦労する教え子もたくさん見てきた。人の予測には限界がある。だから、どんな状況変化にも臨機応変に対応できるような力を身につけなさい」

その先生は、要は、高校時代に特定の教科に偏らず、幅広く勉強しておくことの大切さを説きたかったようですが、なぜか、その話を今でもよく思い出します。おそらく私自身も、エコノミストとして同じようなことを感じているからだと思います。

私が好んで使う言葉に、「予測は当たらない」というのがあります。私は、周りからは予測が当たると言われていますが、私自身は、本当に当たったと思ったことはあまりありません。精度はもっと上げていきたいといつも思っていますが、同時に、予測は当たらないと割り切っています。

むしろ、予測は当たると思い込むことのほうが危険です。思い込みが激しいと、判断の切り替えが遅れるからです。予測は、外れることを前提に、常にいろいろな指標や情報にアンテナを張り巡らし、警戒を怠らないことが重要です。そして、おかしいと思ったら、柔軟に判断を切り替える。よく言えば、臨機応変、悪く言えば無節操ですが、私はこの無節操さこそが予測にとって大切だといつも言っています。よく、一貫した見方が大切などと言いますが、一貫した見方が景気予測に有害になることは多いのです。

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