読み込めないSDカード ソフトで復旧できる場合も
「SDカードに保存した重要書類が開けない」「思い出の写真がすべて消えた」――。こんな絶望的な状況でもさじを投げるのはまだ早い。
2つの方法でファイルを復活できる可能性がある。その救世主となるのが、無料もしくは有料のファイル復元ソフトとデータ復旧サービスだ。いずれもフラッシュメモリー内に残ったデータの「痕跡」をたどって復旧を試み、成功すれば消えたファイルを取り戻せる。
どちらの方法を取るかの判断基準は2つ。1つはSDカードがパソコンで認識されるかどうかだ。認識されるならファイル復元ソフトを試してみる価値がある。認識されない場合は復旧サービス一択だ。
もう1つの基準は、開けなくなった原因。「うっかり削除」など理由が明白な場合はファイル復元ソフトで十分。一方、原因不明の場合は下手にいじると症状が悪化する危険もあるので、復旧サービスにまかせたほうが無難だ。
ここでは、復元ソフトを使うときの立ち回りテクニックを見ていこう。
無料ソフトは数で勝負、有料なら体験版でスキャン
重要なのは手数を増やすこと。あるソフトで復元不能なら次のソフト、それがダメなら次……と、何本か試すとよい。数が多いほど復元できる可能性が高まる。
注意したいのは復元したファイルの保存先。復元対象のSDカードには絶対に保存してはいけない。復元したいファイルがまだある場合、上書きによって痕跡が消える危険があるからだ。HDDなどに保存しよう。復元されたファイルは名前が以前と違うので、必要なら入力し直す。
無料ソフトが全部ダメだったときは、有料ソフトを試してみる。その際は体験版で目的のファイルを復元できるか確認し、復元できる可能性が高かったら製品版を購入しよう。
ファイル復元ソフトでデータを救い出せなかったり、開けない原因が不明だったりしたときは、データ復旧サービスに依頼しよう。これは自力では手に負えない重症患者の「駆け込み寺」的な存在だ。
ここではAOSリーガルテックの「AOSデータ復旧サービスセンター」を例に料金などを紹介しよう。同社に持ち込まれるSDカードのうち、約5割がファイルシステムの故障または物理障害という危険な状態だという。
料金は決して安くない。壊れ方がひどいと10万円以上することもザラだ。ただ、本当に重要なデータだった場合は、それに見合う価値がある。
同サービスではユーザーからSDカードが届くと初期診断を行い、処置方法を判断する。パソコンで認識不能の場合は専用のデータ抽出装置を使い、フラッシュメモリーのピンを直結してデータを吸い出す。その後、パソコンで専用ソフトを使ってデータの痕跡を解析し、復元を試みる。
ただし、こうしたサービスでも万能ではない。物理フォーマットをした場合は復元できる可能性が極端に下がり、メモリーが割れると復元できない。事前に相談するとよいだろう。
[日経PC21 2019年5月号掲載記事を再構成]
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