オレンジ畑が夢の国に 米ディズニーランド初期の写真
東京ディズニーランドが開園したのは1983年4月15日。最初のディズニーランドは1955年、米カリフォルニア州にウォルト・ディズニーの手によって造られた。当時ディズニー・スタジオのスタッフは、ナショナル ジオグラフィック誌を参考にしていた。ディズニー自身「(ナショジオ誌が)なかったら仕事になりません」と話している。ディズニーランドも例外ではなかったようだ。初期の写真で振り返ってみよう。
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1955年7月17日、映画製作者兼ショーマンのウォルト・ディズニーは自身がつくったテーマパークのオープニングで、開園を待ちわびていた数千人の来場者にあいさつした。
「この幸せな場所にいらした皆さん、ようこそ。ディズニーランドはあなたの国です」
ディズニーは、米カリフォルニア州アナハイムに約65ヘクタールのオレンジ畑を購入し、空想の世界につくり変えた。目的は大人と子どもの双方が学び、楽しめる場を提供することだった。
ディズニーは歓迎のスピーチで、「大人は過去の懐かしい思い出がよみがえり……子どもは挑戦や明るい未来を体験できるかもしれません」と宣言した。「ディズニーランドは米国をつくった理想、夢、そして厳しい現実にささげられた場所であり…全世界に喜びとひらめきをもたらす場所になることを願っています」
開園初日は招待制で、1万5000人の来場を予定していたが、偽造された招待状が出回って、招かれていない数千人もの人たちも入場したという。交通渋滞はハイウエーまで何キロも続き、酷暑の中、水飲み器が故障するといった不運にも見舞われた。
ディズニーランドのお披露目はテレビでも行われ、フロンティアランド、アドベンチャーランド、ファンタジーランド、トゥモローランドから成る「魔法の王国」がバーチャルツアーで紹介された。
こうしてディズニーランドはたちまち成功の階段を駆け上る。来場者はわずか7週間で100万人を突破し、グランド・キャニオンやイエローストーン国立公園をしのぐ人気スポットになった。
開園から60年以上がたった現在も、ディズニーランドは世界屈指のテーマパークとして、毎年2000万人近くの来場者を呼び込んでいる。テーマパークを含むディズニーリゾートは3大陸の7カ所につくられ、毎年、数十億ドルの売り上げを記録している。
人々が求めているのは、ディズニーが生み出した魔法のような世界であり、オレンジ畑につくられた最初のディズニーランドがその原点なのである。
ディズニーはこう語った。「ディズニーランドは、私の心の目を通して見た、過去と現在の米国人の世界です。暖かさや郷愁、空想、色や喜びに満ちた世界です」
次ページでも、開園間もない初期の米ディズニーランドの様子を9点の写真でお届けする。
(文 ANDREA LEITCH、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月3日付記事を再構成]
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