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謎だらけの地底 エベレストより高い「山」を発見

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/4/13

ナショナルジオグラフィック日本版

ヒマラヤ山脈に踊る影。国際宇宙ステーションから宇宙飛行士が撮影した(PHOTOGRAPH BY NASA)

地底には確かに山が存在した。まるでジュール・ヴェルヌの小説「地底旅行」のような話だが、ただし、これまでどのSF作家が描いてきた世界とも違い、その山は地球内部の層構造の一部である。

複数の巨大地震による地震波を分析した最新の研究で、地底の山の鮮明な姿が明らかになった。2019年2月15日付けの学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、地下660キロメートル付近の、マントルの上部と下部を隔てる境界面に沿って巨大な山々が連なっており、中にはエベレストより高い山もあるという。

山はただ高いだけでなく、驚くほど起伏に富んでいた。この研究結果から、太陽系でなぜ地球だけが特殊な存在なのかを説明する手がかりも得られそうだ。

「基礎的な発見はほぼ終わっていて、後は細かいことを付け加えるくらいしかないと思っている人はたくさんいます」と、東京工業大学地球生命研究所のクリスティーン・ハウザー氏は言う。だが、この研究が示すように「私たちが住む地球内部については、まだ基礎的発見の余地が残されています」。

■マントルはフルーツヨーグルト

地球の体積の約84%を占めるマントルは、地質のリサイクルセンターだ。マントルの緩やかな対流がプレート運動を起こし、表層の地殻プレートを地下深くへと押し込む。そして別の場所では地下からマグマが上昇し、地表に噴出する際に地下深くの鉱物を一緒に外へ吐き出す。

「生命の進化はほぼすべて、この地表からの物質の流動に依存しているといっていいでしょう」。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの地球深部地震学者であるエリザベス・デイ氏は言う。「プレートが地下へ潜り、火山が噴火する。これらすべてが、地球で起こっている循環を支えています」。なお、デイ氏はこの研究には参加していない。

だが、マントルがどの程度対流し、混じり合っているのかまではよくわかっていない。これは例えば、カップの底にジャムが入っているヨーグルトをかき混ぜたときに、ジャムとヨーグルトがどんなふうに混じり合うのかというような話で、いま得られるデータからその状態を知るのは難しい。

同時に、これは重要な問題だ。というのも、太陽系にある他の岩石天体と比べると、地球には一部の元素が足りないようなのだ。例えば、コンドライトと呼ばれる石質隕石は、太陽系が形成された当時の惑星の名残と考えられている。もしそうであれば、地球の岩石と組成が似ているはずなのだが、地球の上部マントルは、コンドライトとは対照的にマグネシウムに対してケイ素の量が少なすぎる。

■「光の反射に似ています」

この違いにマントルの対流が関わっている可能性がある。鉄など、地球に「足りない」とされる元素のいくつかは、地球の核のなかに閉じ込められていると思われる。だが、他の元素はどこに隠れているのだろうか。問題は、あまりに深い地下のことなので、何があるのかを突き止めるのが困難なことだ。

地震波を使った過去の研究では、地下660キロメートルあたりを境に、その下の岩石の方が上の岩石よりも密度が高いことが示唆された。また、マントルから地表に噴き出した火山岩の化学組成からも、手がかりは得られる。

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