グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

World Food Watch

チーズたっぷり、ワインに合う イタリアの新感覚料理

2019/4/17

チーズを載せた下の生地に上の生地を被せるところ 焼き皿の下には台があり、縁から垂れ下がった生地はカットして次の料理の下の生地として使う

岩井シェフは同地で三つ星ホテルの「ダオ・ヴィットーリオ」や四つ星の「ラ・ヴィラ・マヌエリーナ」のレストランで修業をした。ホテルのレストランなのに、最初に「これがうちの名物だよ」と言って出してくれたのが、薄い生地でチーズを挟んだ料理だった。

「素朴な料理なのに、地元の人に愛されるだけでなく、世界中の人がこれを食べに来るんです。この町ならではの料理なので、プライベートジェットに乗ってくる人もいるとレストランの人に聞きました」(岩井シェフ)。同地ではレストランから総菜店まで、ありとあらゆる業態の店にある料理で、レストランで食べる場合は、パスタのように前菜と主菜の間の「プリモピアット(第一の皿)」として出されるという。

「フォカッチャ ディ レッコ 500」の生地は、「フォカッチェリア ラ ブリアンツァ」とは異なっている。薄くパリっとした上の生地に対し、下の生地が厚めで食感がしっかりしているのだ。「上の生地は薄く伸びる作りたてのものを使いますが、下は焼き皿からはみ出した生地を切ってまとめておいたものを使います。水分量が変わるので、しっかりとした生地になるんですよ。新しい生地だけを使う店もありましたが、私が修業した店はどちらもこうした作り方をしていた。トッピングも、働いていた店では1週間に1、2組程度しかオーダーするお客様がいなかった。だから、うちではシンプルなフォカッチャ・ディ・レッコを食べてもらいたいと思っているんです」(岩井シェフ)。ちなみに小麦粉は現地の店でも使っていた、グルテンの含有量が多いマニトバ粉を使う。「香りがよくて、伸びがいいんですよ」

レッコでは、こうしたスタイルで客にこの料理を出す(「フォカッチャ ディ レッコ 500」)

同シェフがこだわるのは、上の生地に開ける穴の数。これが多いほど水蒸気の逃げ道となるため、パリッとした中にもしっとりとした部分が生まれ、バランスのよい食感に仕上がるという。修業した2店でも作り方は異なり、同店は穴数の多い「ダオ・ヴィットーリオ」流。ごくシンプルな料理に思えるのに、どうやら店の数ほど作り方は異なるらしい。

岩井シェフはフォカッチャ・ディ・レッコを日本だけでなく、アジア圏に広めたいと夢を抱く。国内では、既に多方面から問い合わせがあるという。夢は今、大きく羽ばたこうとしている。

(フリーライター メレンダ千春)


グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL