小泉さんも育休を取って、家でお子さんと過ごしたという

白河 小泉さんは大和証券SMBCはじめ伝統的な日本企業での経験もありますが、もともとそういうお考えでしたか?

小泉 ファミリー優先の考えは、学生時代から持っていました。

白河 まさに新世代の経営者ですね。そして幹部経営者やご自身が育児休業を取得されたことも説得力があります。子育て期のダウンサイドを支えないとまずい、という危機感はご自身の経験から実感されたことなのでしょうか?

男性の育休取得は約8割に

小泉 それもありますし、やはり家族に対して十分なケアをすることが、社員の満足度や会社に対するロイヤルティーを高めるために不可欠だろうと考えています。背景にあるのは、会社と個人の関係性が大きく変わってきていること。これまでの社会では、会社が上で個人は下という「タテの関係性」で雇用形態や評価の仕組みもつくられてきたと思うのですが、インターネットの登場以降は個人がエンパワーメント(能力発揮)され、会社と個人は「ヨコの関係性」を築く時代に変わろうとしています。僕らは、「会社と個人は完全なるフェアな関係性にある」と考えますし、だからこそ彼らの要求を満たさなければ簡単に辞められてしまい、競争優位に立てないという危機感を持っています。

白河 社員のニーズを満たす上で、ファミリーのケアを重視しているということですね。お金の報酬だけでなく、いわゆる「ワークライフバランス報酬」もそろえていく。

小泉 そういうことですね。

白河 不安や心配を取り除くダウンサイド施策とは別に、例えば育休期間を独自に延長するような全体を底上げする施策についてはいかがですか?

小泉 そういう意味では、皆に平等に配布する形の福利厚生には消極的です。例えば、他の会社にあってうちにないのが「家賃補助」。どのエリアにいくらくらいの住居費をかけて暮らすかというのは個人の好みであると思っています。一方で、「子育てが理由で思うように働けない」という悩みは、個人ではどうしようもない問題も多々あるのでしっかり会社がケアをする。

白河 ダウンサイドの支援とは、思い切り働けない事由が生じたときに手厚く下支えしますよ、という姿勢なのですね。安心感につながりますね。

小泉 はい。それに、全員に均等に与える補助というのは、「もらえているのが当たり前」という意識を生みやすくて、いざやめるときにハレーションを起こしやすいというデメリットもある気がします。一番大変なときに手厚くケアするほうが、ありがたみを感じてもらえるのではないでしょうか。トータルコストを考えても、全員に毎月数万円の家賃補助を配るより、いざという時に手厚くケアするほうが抑えられます。コストを削減した上でロイヤルティー効果は高いので、経営としても理にかなっているんです。

白河 男性の育休取得も増えていますか?

小泉 今は約8割の男性が平均2カ月くらい取っていますね。復帰後に補う形で、男性にも復職一時金を支給しています。

白河 社員の皆さんからはどんな声があがっていますか?

小泉 男性社員からは「(育休取得を反対される)『嫁ブロック』がなくなった」とよく聞きますね(笑)。つまり、男性でも安心して育休が取れ、子どもを産み育てる上での安心感がある会社に対しては、家族の理解度も高まります。