「米国では、後に前立腺肥大症治療薬『ハルナール』として発売することになる新薬候補の開発を担当しました。海外駐在者はほとんどいない時代、人事ローテーションはなく、半ば片道切符の赴任でした。3段階で進む治験から規制当局への承認申請まで担当しました。5人ほどの少数チームで、何でも自分でやらなくてはならなかったのが良い経験になりました」

米国勤務時代のボスに仕事の考え方教わる

社内表彰の際にはグローバルメンバーを集めて意見交換する=アステラス製薬提供

――リーダーにはどのような資質が必要ですか。

「今の世界がひっくり返ることへの危機意識を持っていることは重要です。社員に対して会社の状況や目指すところを包み隠さず話す、説明責任を全うするのも資質の1つだと思います。しっかりした理屈がなければ部下の提案に納得しませんし、自身でも明確な論理をもって説明できるようにしています」

――リーダーとして尊敬している人はいますか。

「よく質問されて困るのですが、いないんです。上司として尊敬しているのは米国でハルナールの開発をしていた時のボスです。頭は最高に良くて、地道で、戦略家でもあって、仕事の考え方を一から教えてもらいました」

「コントロールできる時間とそうでない時間を分けて、自分の主導権があるところで何ができるか徹底的に考えよう、と。ボールが手元に来てから考えるからグズグズしてしまうのです。治験の場合、患者を集めて12週間薬を投与する、などといった試験の設定は動かせません。試験結果を見てから次の行動までの時間が自分で短縮できる領域です。次にどうしたらいいか、常に考える習慣をたたき込まれました」

――後継者に求める条件はありますか。

「科学者である必要はありませんが、ライフサイエンスを扱う企業ですから科学の見識は必要です。将来、人類が使える科学はどのようなものがあり、そのうち何を使えばアステラス製薬が持続的に成長でき、社会の中で存在意義を果たせるか、考えられる人ですね」

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安川健司
 1986年東大院修了、山之内製薬(現アステラス製薬)入社。2010年アステラス製薬執行役員。17年副社長、18年社長。

(秦野貫)

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