パナソニックのプロ用タフミラーレス 高性能で隙なし

カメラやレンズの小型化に有利なマイクロフォーサーズ規格を推進していたパナソニックから、ついにフルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX S1」「同 S1R」が登場した[注]。ライカが開発した「Lマウント」を採用。「プロフェッショナルユーザー」を対象としており、剛性感高いボディと先進的な機能が注目の1台だ。今回は高画素モデルの「S1R」を取り上げてファーストインプレッションを報告する。
[注]マイクロフォーサーズのセンサーは約17.3×13mm、フルサイズは約36×24mm。面積は4倍近くになる。
最先端行く基本性能
S1とS1Rの主な違いはセンサーの画素数で、S1の2420万画素に対してS1Rは4730万画素。4730万画素は現状のデジタルカメラの中でトップクラスとなる。光学ローパスフィルターがなくシャープな描写が特徴で、標準ISO感度100から25600まで使用可能となっている(拡張で50から51200)。映像エンジンはLUMIXシリーズで定評のある「ヴィーナスエンジン」。プロの要求に応えるべく、画質、オートフォーカス、書き込み速度などあらゆる動作の高速化などを担っている。

もちろんボディー内手ブレ補正機能も搭載している。レンズ内手ブレ補正機能と連動制御する機能があり、最大6段もの手ブレ補正効果がある。これによって撮影はとても楽になるはずである。また、手ブレ補正用にセンサーを動かす仕組みを使って8枚連続撮影し、カメラ内合成処理をして187メガピクセル相当の写真を生み出す「ハイレゾモード」も搭載されている。
マイクロフォーサーズのLUMIX Gシリーズで培ったオートフォーカス「空間認識技術(DFDテクノロジー)」もさらに進化している。左右の眼に対応した瞳認識はもちろん、人体認識や動物認識(鳥、イヌ、ネコ)も備える。実際にカラスを撮影して試したが見事なまでに追従してくれた。これには驚いた。ほかにも柔軟なAFエリアの設定など、「撮る道具」としてよく考えられているカメラだと感じた。パナソニックのお家芸である高速連写機能「6K/4Kフォト」機能も備えている。6Kフォトでは約1800万画素で秒間30コマ、4Kフォトでは約800万画素で秒間60コマの高速連写が可能だ。
電子式ビューファインダーは約576万ドットととても高精細で、応答速度も速く被写体を細かく確認できた。倍率を調整できる点も見逃せない。メガネをかけたフォトグラファーでも画面の隅々までチェック可能になっているのがうれしい。
液晶モニターは3軸チルト式を採用。横位置だけでなく、縦位置でもチルトが可能なのでより自由なアングルで撮影ができるだろう。もちろんタッチ対応なので画面に触れての撮影もOKだ。

プロ機としての頑丈な設計
メディアはSDカードと、SDカードより高速にデータを読み書きできるXQDカードのデュアルスロットに対応。XQDの次世代規格となる、さらに高速なCFexpressにもファームウェアのアップデートで対応予定だ。デュアルスロットを生かして、片方が一杯になったときに自動的にもう一方に記録する順次(リレー)記録、両方に同じものを記録するバックアップ(サイマル)記録、データの種類ごとに保存先を決められる振り分け記録と使い分けられる。プロ機らしい機能だ。
ボディーはやや大柄だが、高耐久・耐衝撃ボディとなっており、防じん防滴だけでなくマイナス10度対応の低温にも対応する。シャッターの耐久性も約40万ショットとプロ機として相応しいスペックだ。ボタン類の配置、大きさ、節度感もとてもしっかりとしており、仕事の道具として考え抜かれたカメラに仕上がっている。
シグマのレンズも使用可能
「Lマウント」用としてパナソニックからはまず3本のレンズがリリースされる。標準ズームレンズの「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.」、望遠ズームレンズの「LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.」。そして単焦点レンズの「LUMIX S PRO 50mm F1.4」だ。2020年までに合計10本以上のラインナップになる予定だ。

Lマウントにはライカとパナソニックのほかシグマも参画しており、シグマも10本以上のLマウント用のレンズをアナウンスしている。また、シグマ製のマウントコンバーター「MC-21」を使用すれば、シグマ製のキヤノンEFマウントSGVレンズ群、SAマウントSGVレンズ群がほとんど使用可能になる。明るく高性能な単焦点レンズや、ユニークな高倍率ズームレンズなどが装着、使用可能なのである。使いたい画角がない、ということはないと言ってもいいであろう。
タフで信頼感あふれるボディに、圧倒的な解像度を誇るフルサイズセンサーを搭載し、すでに多くのレンズが装着できることが約束されている「Lマウント」を採用したパナソニックの新生フルサイズミラーレス一眼。実際にその操作感を試してプロ機の息吹を味わって欲しい。
次ページには試作機による作例を掲載する。市販品と仕上がりが異なる場合がある。








iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。http://sasurau.com/
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