Wi-Fi 2階に電波を飛ばす最適な方法はどれ?
Wi-Fi(ワイファイ)ルーター(親機)から、パソコンやスマートフォンなどの子機までの距離が遠くなると、電波が弱くなり通信速度が著しく低下する。また、Wi-Fiルーターを1階に設置した場合、2階は距離に加え床板やはりなどの家の構造物に遮られて、さらに電波が届きにくい。
今回は、中継機やメッシュネットワークのメリットとデメリットを解説するとともに、一戸建ての1階にWi-Fiルーターを設置し、途中経路に中継機やメッシュネットワークを導入してWi-Fiの電波を中継すると、2階の通信速度がどのように変化するかを調べた。
届く範囲は20メートル程度、中継機は速度半分の弱点
Wi-Fiの電波は見通しの良い場所なら100メートル程度は届くといわれている。だが、宅内の障害物に妨げられたり周囲の電波状況にも影響されるため、実際はWi-Fiルーターを設置した場所から、半径20メートル程度しか届いていない。一戸建ての2~3階に当たり、Wi-Fiルーターから遠い部屋だと、電波が悪い状態になることは十分に考えられる。
中継機はパソコンとWi-Fiルーターの途中経路に設置することで、Wi-Fiの電波を遠くまで届かせる機器。値段も5000円程度と手ごろなので、導入もしやすい。ただ、現在売られている中継機は、同じ周波数帯でデータの送受信が同時にできない仕組みだ。そのため、速度が半分になる。
中継機の中身は、実はWi-Fiルーターとほぼ同じ。現在売られているWi-Fiルーターのほとんどには中継機モードがあり、それに切り替えれば中継機として利用できる。背面のスイッチか設定画面で動作モードを切り替えればよい。ただし、中継機モードで動作するWi-Fiルーターの設定画面を開くのには、ひと手間かかるので注意したい。もし、間違った設定をしてしまい、Wi-Fiルーターの設定画面が開けなくなったら、Wi-Fiルーターの動作モードを「ルーター」に戻すか、リセットボタンを使って初期化すればよい。
メッシュは速度が低下しない、ただし導入コストが高い
中継機の欠点を補ったのがメッシュネットワークだ。メッシュ技術に対応したWi-Fiルーター(親機)と子機を複数台設置し、ネットワークを網目状に張り巡らせ、電波を遠くに到達させる仕組み。パソコンやスマホなどの接続先は状況に応じて状態のいい親機や子機に自動で切り替わるため、接続先を特に意識しなくてもよい。また複数ある通信経路から最も良い経路を自動的に選んで通信するため、通信効率が良いとされている。
中継機と違い、送信と受信を同時にできるため、そこで速度が半減することもない。さらに、中継機は壊れるとそれに接続されている機器がすべてネットワークに接続できなくなるが、複数の子機を配置するメッシュネットワークなら、1つの子機が壊れても別の経路が確保されており、問題なく通信を続けられる。
メッシュネットワークは万能に見えるが、対応製品がとても高価だ。親機、子機ともに1台1万~2万円程度もするうえに、それが複数台必要になるため、導入するにはかなりの出費となる。また、メーカーが指定した親機や子機の組み合わせしかメッシュネットワークを構築できず、中継機のような手軽さはない。
製品によっては、スマホのアプリが提供されており、それを使うとどのようなメッシュネットワークが構築されているか、視覚的に確認できる。現在の接続台数や利用周波数帯、電波状況などもわかるので、状況を把握しやすい。
遠くはメッシュの効果あり、直接つなぐより3倍以上も速い
今回は1階の南側にWi-Fiルーターを設置し、中継機やメッシュネットワークを導入することで、2階の通信状況がどのように変化するかを調べた。Wi-Fiルーターを設置した場所から一番遠い2階の北側の部屋では、メッシュネットワークを使うとWi-Fiルーターのみの場合と比べて3倍以上に速度が跳ね上がったため、効果はかなりあることがわかる。
一方で、Wi-Fiルーターの設置場所の真上となる2階の南側の部屋では、Wi-Fiルーターに直接接続したほうが速かった。Wi-Fiルーターから近ければ直接つないだほうが速いものの、メッシュでは自動で接続先が切り替わるので、利用時にそれを意識しなくてもいいこともメリットだろう。
<※実売価格は雑誌掲載時のもの。>
[日経PC21 2019年4月号掲載記事を再構成]
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