村木氏は「オリンピックパートナーでない企業に比べ、かなり感度が高い」と分析する。ただ、女性や外国人、障害者などを対象とした取り組みへの質問では「積極的に取り組み、対外的にも公表している」との回答は64.7%に上っており、性的少数者への対応は比較的遅れているようだ。

同性パートナー、配偶者扱いに壁

具体策としては、「職場での性的マイノリティに関する研修、eラーニング」(73.9%)、「差別の禁止の明文化」(78.3%)、「相談窓口の設置」(69.6%)が多かった。当事者のニーズが大きいとされる「福利厚生での同性パートナーの配偶者扱い」を実施している会社は、制度改定などが必要となるせいか34.8%にとどまった。

虹色ダイバーシティ・プラップジャパン調べ

何らかの施策に取り組んでいる積極的な企業と、そうでない企業の双方に対し、それぞれ理由を聞いた。積極的な企業からは、企業としての社会的責任や誰もが働きやすい職場にするのが重要という回答が多かった。自由回答では、国に法整備を急ぐよう求める声もあったという。背景には、福利厚生面の対応を充実させたくとも、法律で同性婚が認められていないことなどがハードルになっているという事情もあるようだ。

具体的な取り組みをしていない企業からは、「センシティブな問題なので慎重に進める必要があるため」という答えが目立った。村木氏は「『カミングアウトの準備ができていない社員に対して配慮している』という声もあった。しかし、カミングアウトするかしないかは、個人の選択の問題。問題自体の理解が進んでいない」と指摘。施策を実施し、社員側からのフィードバックがあって環境が整っていくケースが多いにもかかわらず、「何かをする前から不安を感じて立ち止まってしまっている企業も多い」と話す。

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働くのに大事なのは「心理的安全性」