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「居酒屋以上旅未満」 星野リゾートが若者向け新業態

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星野リゾートが長野県軽井沢町に、新業態ホテル「BEB5(ベブファイブ) 軽井沢」を2019年2月5日にグランドオープンした。高級旅館「星のや」や「界」、リゾートホテルの「リゾナーレ」など、高価格帯の宿泊施設を得意としてきた同社。しかしBEB5は、1泊1室1万6000円(税・サービス料込み。以下同)からと、同社のラインアップの中ではリーズナブルな価格帯に位置する。ターゲットは同社が取り込めていないという、20~30代の若い世代だ。

インバウンドでレジャー業界が活況を呈するなか、なぜあえて低価格帯に進出したのか、リーズナブルでも「星野リゾートらしさ」は残っているのか、実際に泊まって実力を確かめてきた。

最寄り駅からは徒歩でOK

長野県軽井沢町は、星野リゾート創業の地。1914年に「星野温泉旅館」が開業して以来、100年以上にわたって湯治客や避暑客をもてなしてきた。今では高級旅館「星のや 軽井沢」、リゾートホテル「ホテル ブレストンコート」、商業施設「ハルニレテラス」などが集まり、「星野エリア」を形成している。BEB5はその星野エリアの入り口に立地。最寄り駅のしなの鉄道中軽井沢駅からは徒歩15~20分程度。ほぼ平たんな道なので歩いてもいける。

敷地に入ってまず目に入るのが、2棟の建物に挟まれた屋外のパブリックスペース。板張りになっており、あちらこちらにベンチが設置されている。夜になるとたき火がたかれて、高原リゾートの雰囲気を盛り上げる。

建物に入るとまずあるのが、靴を脱いでくつろげる小上がり。その奥には長いテーブルと、自由に本が読めるライブラリースペースがある。さらに進むと、飲み物や食べ物を注文できるカフェカウンター。多くのホテルで入り口正面に構えているフロントは、かなり奥に、しかもこぢんまりと存在している。

フロントといっても、制服に身を包んだスタッフがズラリと並んでいるわけではない。置かれているのは自動チェックイン機で、カードキーの受け渡しから宿泊代金の精算まで、機械がこなす。ここにいるスタッフは1人だけで、宿泊客への案内の他、館内で流れる音楽を選曲するDJを兼ねている。

バス・トイレが別で洗い場もある客室

チェックインを済ませたら、客室へ行ってみよう。客室数は73室で、うち40室を占めるのが「YAGURA Room」と名付けられた2~3人用の部屋だ。20平方メートル弱とコンパクトだが、ロフトベッドにすることで、空間を有効活用。ベッドの1階部分は足を伸ばしてくつろげる大きなソファで、寝具を敷けばエキストラベッドにもなる。

頭上には2人分のベッドがあり、階段部分も収納スペースになっているなど、工夫が満載だ。ただ、ロフトベッドは天井が低く、階段の上り下りが必要なことから、高齢者や幼児連れには向かない印象。メーンターゲットを20~30代に絞ったホテルならではと感じる。

最初は飾りかと思っていたが、意外に便利だったのが壁に設けられた框(かまち)。スマートフォンや指輪など、ちょっとした小物を置くのにぴったりで、自宅にも取り入れたいと思ったほどだ。

充実の共用スペース、だが宿泊者同士の交流はない?

部屋の居心地もいいが、このホテルの目玉は、建物に入ったときに通り抜けた共用スペースにある。冒頭で紹介した屋外の広場と、それを取り囲むカフェやライブラリーは「TAMARIBA」と名付けられ、24時間利用可能だ。

共用スペースを充実させるのは、最近のホテルのトレンドだ。ロビーを宿泊客以外にも広く開放し、見知らぬ宿泊客同士だけでなく、地元の人々とも交流できる「ソーシャルホテル」が世界的に広がりを見せている。ターゲットは、20~30代の「ミレニアル世代」。BEB5のターゲットともぴったり符合するようにみえる。

ところが、星野佳路代表は、欧米のソーシャルホテルとは似て非なるものだと話す。

「諸外国のミレニアル世代は、好調な経済を背景に消費が活発で、人々との交流にアグレッシブ。しかし我々が日本の若者へのグループインタビューを重ねた結果、導き出されたメンタリティーは180度違っていた。将来への不安感があるためか、消費には積極的でなく、旅行にもあまり出かけない。見知らぬ人と交流したいという希望は少なく、むしろ気の合った友人と過ごしたいという意識だった」(星野氏)。そこで、あくまでも仲間とワイワイ楽しめる場所として、TAMARIBAを作ったのだという。

スキレットを使って簡単な料理が楽しめる

果たして、TAMARIBAの楽しみ方とはどのようなものなのか。実際に体験してみた。

まずは、屋外の過ごし方。あちらこちらに丸太を使った「スウェディッシュトーチ」が燃やされている。暖をとるだけでなく、鋳鉄製のフライパン「スキレット」を使って料理も楽しめるという。スキレットは無料で借りられ、パンケーキやベイクドアップルといった食材もカフェで購入可能(500円)。

今回は、リンゴ丸ごと1個を使ったベイクドアップルを作ることにした。といっても大した準備はいらず、リンゴに切れ込みを入れ、バターを載せてからアルミホイルでくるんだものが用意されている。それをスキレットに載せて火にかけるだけでいい。

しばらくすると煮汁が噴き出してくるので、開けて食べてみることに。甘くおいしいが、シャキシャキとした食感で、まだ生に近い印象だった。さらに過熱すると、やがて実がくったりとなり、アップルパイの具のような食感に。ホテルのスタッフによると、変化する食感を楽しめるのがポイントという。確かに、調理済みのものを買うよりも楽しめた。

冬ならではのもう一つの仕掛けが、卓上アイスホッケー。水をまいておくと、夜の冷え込みで凍るという「天然もの」だ。記者も子供と対戦してみたが、子供はかなり興奮していた。若者だけでなく、家族連れでも楽しめること請け合いだ。

飲食類は持ち込み自由

屋内のTAMARIBAでは何ができるのだろうか。目についたのは、さまざまなカードゲーム。友達の家にいるような感覚で楽しんでほしいという狙いで、TAMARIBAで遊んでもいいし、部屋に持ち帰ってもいいという。実際、記者が泊まった日にも、深夜12時過ぎまでトランプで盛り上がっている女子3人組がいた。

アルコール類を含む飲み物やちょっとしたおつまみは、カフェで購入できる。面白いのは、持ち込みが自由というところ。偶然にもホテルの入り口近くにはコンビニエンスストアがあり、食材は自由に手に入る。両手にアルコール類や食べ物を山ほど抱えてやってきた若者グループも実際に見かけるなど、通常のホテルとはだいぶ印象が異なる。

この点は、BEB5側の割り切りでもある。BEB5にはレストランが併設されておらず、夕食は星野エリアにあるレストランなどの利用が想定されている。カフェでも、提供するのは調理が不要なものだけ。そうすることで、少ないスタッフで運営できるようにしているという。宿泊料金を抑えつつ、利用客に自由に過ごしてもらう。その答えが「持ち込み自由」だったわけだ。その半面、手厚い「おもてなし」はない。従来の星野リゾートのイメージを抱いて訪れようとしている人は注意が必要だ。

星野エリアと近接しているもう一つのメリットが、温泉施設のトンボの湯が利用できる点。源泉かけ流しで露天風呂がありながらも、星野リゾートらしいスタイリッシュなデザインが特徴だ。通常大人1300円のところ、500円で利用できる。部屋にも洗い場付きの浴槽があるが、この程度の追加料金なら、温泉に入りたいと思う人も多いのではないだろうか。

ただ少し残念なのは、部屋のタオルを持っていくのが前提になっていること。BEB5からトンボの湯までは歩いて10分ほど。道中には雑貨店や飲食店が立ち並ぶハルニレテラスもあり、行き帰りにウインドーショッピングや、食事を楽しむ手もある。しかしその際、ぬれたタオルを抱えてというのは現実的ではないだろう。一応、トンボの湯で300円支払い、タオルを借りればいいとのことだったが、同じ星野リゾートの施設なので、融通を利かせてもいいのでは、と感じた。

20~30代の若い世代を呼び込めるか?

さて、日が変わって翌朝。一押しの朝食という「羽根付きフレンチトースト」(セットで1200円)を味わった。基本的に調理済みのものを販売するカフェだが、このフレンチトーストだけは、仕上げをその場で行う。

面白いのは、付け合わせの量がS、M、Lの3段階で調節でき、かつ量を増やしても料金が変わらないこと。自由な過ごし方の一つの提案として「量の自由」も打ち出しているのだ。ちなみにこのメニューの提供は9時30分までだが、それ以降でも、デニッシュなど出来合いのメニューの購入は可能。「寝坊してもOK」とうたうゆえんだ。

全体を通して、型にはまらない過ごし方を提案しているBEB5。目指しているのは「居酒屋以上、旅未満」だと総支配人の金子尚矢氏は話す。35歳以下の限定プランなら、いつでも1室1万6000円。最大3人で泊まれるので、1人当たり5300円程度となる。これについて、「長野県内や隣接する群馬県からなら、食事代を入れて1万円程度に収まる。実は、居酒屋で飲み食いして、マイカー代行を呼んでもそのくらいはかかる。居酒屋代わりの利用は狙えるはず」(金子氏)。20~30代は旅行に消極的で、このままだと将来的に旅行に出かける人が減るのではないかという危機感が、星野リゾートを突き動かしている。

もう一つのターゲットは、首都圏在住の若者たち。新幹線を使うと1万円を超えてしまうが、金子氏は「そのぶん、温泉や豊かな自然をアピールしたい」と話す。ダラダラ過ごせる雰囲気がBEB5の売りだが、さすがにそれだけで軽井沢まで足を運んでもらうのは難しい。そこで提案しているのが、スウェディッシュトーチによるスキレット体験であり、天然氷の卓上アイスホッケーだ。春以降、どのような提案が出てくるのか。型破りなホテルが受け入れられていく鍵は、そのあたりにありそうだ。

(写真・文:日経クロストレンド 佐藤嘉彦)

[日経トレンディネット 2019年3月14日付の記事を再構成]

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