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リーダーとして転職 求められる改革の前にすべきこと エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子

2019/3/22

これまでの経験やノウハウに自信を持っていても、いきなり問題点を取り上げて、自分のやり方を導入しようとするのはNG。部下から見れば、それは一方的な押し付けにすぎません。「これまでの経緯や事情もよく知らないくせに」と反発を招き、組織内で浮いてしまうことになりかねないのです。そして一度対立状態に陥ってしまうと、なかなか修復できなくなってしまいます。

自分の経験はいったんリセットするくらいのつもりで、その職場のこれまでのやり方をまずは受け入れてください。そして、どうしてこのようなフロー、やり方になったかの経緯を理解した上で、現状の問題点などをつかむようにしてください。

それと並行して、周囲とコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことに注力します。既存の体制への理解を深め、メンバーとの関係を築けた段階で改革に着手するほうがスムーズに事が運び、結果的には早い段階で目的を達成できるものです。

ただし、経営陣側が「早く成果を」と焦っているケースもあります。入社前に「どんなプロセスで進め、どれくらいの期間で最終目標の達成を目指すか」をすり合わせておくことも大切です。

■周囲の納得を引き出す進め方

リーダーとしてうまく転職先に着地し、改革を成功させた方の事例を紹介しましょう。

ある会社の社長が急逝し、その息子さんが2代目社長に就任しました。その方はまだ若く、別の企業に勤務していましたが、退職して父の会社を引き継いだのです。

入社してみると、旧態依然とした体制にがくぜんとすることになります。負債も膨らんでおり、すぐにでも大改革を行わなければならない状況。「自分一人では手に負えない」と考え、パートナーとなる幹部としてAさんを採用しました。

Aさんはその会社の業務を分析し、ITの活用が必須だと判断しました。先進的な大手企業で経験を積んでおり、IT活用の経験も豊富で、新しい仕組みを導入するのはたやすいことでした。

新たな部下と話し納得感を引き出すことも大切。写真はイメージ=PIXTA

しかし、その会社は中高年の女性社員が多くを占めます。「ITツール」というだけで、「難しい」「覚えるのが面倒くさい」といった反発が起きることが予想されました。

一度反感を買えば、信頼関係を築き直すのは困難となります。そうした事態を避けるため、Aさんはまず社員一人ひとりへの聞き取り調査から始めました。「今、どんなことを不便に感じているか」「時間や手間がかかっているのはどんな作業か」といったことを丁寧にヒアリングしたのです。

これによって、社員たちは「この人は私たちが仕事をしやすくする方法を考えてくれている」という期待感を抱いたのでしょう。この後、全メンバーにiPadを支給し、それを使って業務を行うシステムに刷新したのですが、反発もなくスムーズに移行できたそうです。普通なら「慣れたやり方を変えたくない」という声も上がりそうなものですが、「自分たちの意見や希望が反映された結果がこれなんだ」という納得感を得られたのだと思われます。

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