機動戦を制す戦闘哲学OODA ビジネスに生かすには八重洲ブックセンター本店

2階エレベーター降り口正面の面陳列棚に3冊並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)
2階エレベーター降り口正面の面陳列棚に3冊並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』『天才を殺す凡人』『メモの魔力』……このところの売れ筋がここでも力強くビジネス書の売り上げを引っ張っている。そんな中、書店員が注目するのは、湾岸戦争などで効果を発揮した戦闘哲学をビジネスへの応用という視点で検証した戦略論の一冊だった。

提唱者の直弟子が執筆

その本はチェット・リチャーズ『OODA LOOP(ウーダ ループ)』(原田勉訳・解説、東洋経済新報社)。タイトルにあるOODAループとは、米軍式とか米海兵隊式などの枕ことばで語られる意思決定スキルのことだ。観察(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)という4つの活動からなる。本書はその提唱者、ジョン・ボイドの直弟子が、軍事戦闘領域とビジネス領域でそのスキルがどのように機能しているかを検証した本だ。原著は2004年刊で、この分野の基礎文献といわれる。

OODAを手っ取り早く知りたいという人には、この本は向かない。日本語版への序文で、著者は古代中国の戦略家、孫子から語り始める。続いて登場するのがOODAを提唱した軍事戦略家のボイドの話だ。ボイドは戦争の歴史をつぶさに追い、「孫子の概念を現代版戦闘哲学としてアップデートした」という。その戦闘哲学の中核にあるのがOODAループと語るのだが、その概念をすぐには説明しない。

まず語られるのは、機動戦略の有効性だ。第2次世界大戦でドイツ軍がフランスに侵攻した電撃戦が詳細に分析され、戦闘においていかにスピードが重要で、そのスピードをもたらしたのは何かが考察される。そこからOODAという意思決定スキルが浮かび上がってくる。OODAとは何かを図式的に説明するのではなく、どんな実例で有効に機能したかを丹念な分析から引き出し、どんな組織文化を背景にそうした意思決定の仕組みが生まれてくるのかまで深掘りしていく。ビジネスへの応用や何をすべきかについても、OODAという概念の本質を深く考えることで論じていく。

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