日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/3/25
空中から見たマヤの遺跡(COURTESY WILD BLUE MEDIA/NATIONAL GEOGRAPHIC)
ライダー技術を使って同じ場所を見たところ。地上からの調査で推定されていたよりもずっと大きいことがわかった(COURTESY WILD BLUE MEDIA/NATIONAL GEOGRAPHIC)

ティカルはグアテマラで最も大きく、最も調査が進んでいる考古学的遺跡だが、上空からの調査で得られた3次元マップが、ここでも驚きの情報をもたらした。この古代都市は従来の推定より少なくとも4倍は大きく、何キロも続く大きな堀と城壁に一部を囲まれていたのだ。

加えてティカルで見つかったのが、2基の大きなピラミッドだ。新たなデータで正しく識別されるまでは、自然の地形だと考えられていた。2基のうち大きな方はおそらく重要な儀礼施設で、有力な王の墓があるかもしれないと研究者たちは話している。

「蛇王朝」の拡大を示す集落も

新たな地図からは、これまで知られていなかった2つの集落も特定された。集落は、マヤの遺跡ラ・コロナから「蛇王朝」の首都カラクムル(現在のメキシコにある)へ向かう古い街道沿いにある。これは、蛇王朝がマヤ低地に拠点を築き、影響力を広げるにあたってラ・コロナが中心的な役割を果たしたことを物語る。強い力を誇ったティカルを、蛇王朝は紀元562年についに征服した。

ラ・コロナで見つかった、1500年近く前の貴重な儀式用祭壇。描かれた支配者は、「蛇王朝」と呼ばれるマヤの強力な王朝の台頭に、重要な役割を担ったと考えられている(PHOTOGRAPH BY ARTHUR HAYNES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

「解読された文字から、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のような興亡劇の登場人物について多くのことが解明できました」とギャリソン氏。「ドラマが繰り広げられた舞台が今、ライダーによって明らかになろうとしています」

考古学者たちはライダーの有効性を高く評価しつつ、この方法で地中までは決して見られないし、人が住んでいた年代も教えてはくれないと強調する。「やはり私たちはジャングルをかき分け、地面を掘る必要があります。その際、とても正確な地図に頼れるということです」と、米テュレーン大学の考古学者フランシスコ・エストラーダ=ベッリ氏は話す。

PACUNAMのディレクター、マリアン・エルナンデス氏によれば、2019年の夏までには第2段階の調査が始まるはずだという。「空白が埋まるにつれ、マヤ文明の強固さを認識していくことになるでしょう」とエルナンデス氏は話す。「今は収穫を何倍にもできるよう、協力者を増やし、調査を大規模にすることに取り組んでいます」

(文 TOM CLYNES、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年3月6日付]

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