「生きた化石」カブトガニ 実はクモの仲間だった

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/3/18
ナショナルジオグラフィック日本版

カブトガニ。米ニュージャージー州マネー島で撮影。現生種は4種で、古代からほとんど姿が変わっていない(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

「生きた化石」として知られるカブトガニは、実はクモと同じ仲間であることが、新たな研究で示唆された。これまでもクモに近い種であると言われていたが、2019年2月14日付けで学術誌「Systematic Biology」に発表された論文によると、カブトガニはクモやサソリ、ダニなどと同じクモ綱(クモガタ綱とも)に属するという。この研究では、カブトガニ類とクモ綱の生物について膨大な遺伝子解析を行い、その結果をもとに最も妥当と思われる系統樹を作り上げた。

「系統樹を描くとき、これらのグループを分類するのは常にやっかいな問題でした」と研究リーダーを務めた米ウィスコンシン大学マディソン校のヘスース・バイェステロス氏は話す。「しかし、今回の分析で何よりも驚いたのは、どのようにデータを処理しても、一貫して同じ結果が得られたことです。つまりカブトガニは、系統樹において常にクモ綱の中に分類されたのです」

これまで考えられてきた道筋

カブトガニ類もクモ綱も、さらに上位の大きな分類である「鋏角(きょうかく)亜門」に属していることは、以前から分かっていた。しかし、厳密な意味でどれほど近い関係なのかは謎だった。

カブトガニ類は、血液が青く、穴を掘る習性がある。最古の化石は4億5000万年前のものだ。ちょうどその頃、クモ綱の動物も出現し始める。

これまでカブトガニの出現は、次のように考えられてきた。まず、クモ綱の動物とカブトガニは、ある種の水生鋏角類と思われる共通祖先から枝分かれした。片方の系統はすぐに陸に上がり、10万種にも多様化し、今日のクモ綱になった。

もう片方の系統であるカブトガニ類は、海にとどまり、いくつもの大量絶滅期をほとんど姿を変えずに生き残った。今日まで生き延びたカブトガニは、わずかに4種。体長30センチを超えるものもある。これが従来の説だった。

「カブトガニ類の問題は、現生種が4種しかいないことです」と、鋏角亜門の進化を研究するスウェーデン、イェーテボリ大学のマティアス・オプスト氏は話す。「つまり、グループ内の多様性がとても低いということです。多様性があれば、系統樹の中での位置付けを安定的にできるのですが」

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