
「リビングのような」車内と「ゆりかごシート」
平山 車内は、「みんながくつろげるリビングのような特急」「リビングが移動しているような特急」だそうですが……。ちょ、ちょっと待ってください、南田さ~ん。エントランスからゆっくり見学しましょうよ~。
南田 (1号車の運転席を前にして)わぁ、広々していて、黒くてかっこいい! このゆったり感は、上京して最初に住んだ北品川のワンルームマンションより広い(笑)。飛行機のコックピットのような運転席も、かっこいいなぁ。

平山 運転席と客室とを仕切るドアも、全面がガラスだから閉塞感がないですね。
南田 運転席も眺望もよく見えるスペシャルシートは、1号車の「1-C」「1-D」(あるいは、8号車の12-A、12-B)ですね。座ってみていいでしょうか?
西武鉄道車両部車両課の桑原真理子さん(以下、桑原) どうぞ、どうぞ。
南田 一番の展望席は、1-Cだ。前方の眺望も完璧で運転士さんの運転も見える。1-Cに座れば、運転席も見えるし眺望もいいように設計なさっているんですよね?

桑原 はい。デザインを担った建築家の妹島和世さんが、お客様も前面から眺望を楽しめるように工夫しました。前面ガラスも車体の窓も、安全強度を保ちながら大きくできるギリギリのところまで調整しました。
南田 (座席シートを倒してみて)エッ、何これ、すごいよ、このリクライニング。包み込まれているこの感触は初めて味わう。
平山 黄色い配色や生地感は、ソファみたいです。(座席シートを倒して)身体全部が包まれたままで、ひじかけから一体で倒れる。ゆりかごみたい。

桑原 座席シートの設計はかなりこだわっています。お客様の背丈サイズに合わせて調節できる手動式可動枕と、ひじ掛けにはテーブルを設置しています。パブリックスペースでありながら、それぞれが自分の時間を過ごせるスペースを目指しました。
南田 「公の空間でありながら、マイスペースとして過ごせる空間」。新幹線のビジネスシートもそうですけど、仕事で利用する時は特にありがたい。各座席にコンセントがあり、「FREE Wi-Fi」も導入されていますね。僕としても、定期的な仕事で所沢に行くので本当にうれしい。池袋―所沢間ならば、通常料金の340円に400円プラスすればいいだけというサービス精神もすごい。21分で到着です。
平山 家族旅行をイメージしちゃいます。座席シートを回転して向き合わせるとほら。大きな窓にこのカーテンに……リビングにいるような感覚。シートが低いのも落ち着くし、天井を高く感じます。
