自然を守るか、母になるか 映画『たちあがる女』恋する映画 世界一男女平等なアイスランド女性の物語

とはいえ、監督の話を裏付けるような事実を挙げるとすれば、アイスランドが男女平等度ランキングにおいてなんと10年連続の1位を誇っているということ。日本は毎年100位以下という不名誉な結果ですが、それを聞いて驚いた監督は「女性のみなさん、がんばって闘ってください!」とエールを送ってくれると同時に、男性に対して女性の地位向上を訴えかけるある方法も教えてくれました。

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「これは科学的な事実といわれていることなんだけど、女性の経済的、社会的な地位が上がるとセックスライフがよりよくなるといわれているんだ。なぜなら、母系社会になると男性はよりリラックスして、男性同士の間でも攻撃性が減ってくる。それによって、性生活も充実するとされているんだ。だから、日本の男性にもそういうことを知ってもらうといいかもしれないね(笑)」

女性を尊重するアイスランドならではのアドバイスですが、仕事上で男女差別に苦しむ女性へのコメントもくれています。「もし、社会や権力を変えたいと思うなら、経済的なプレッシャーを与えるのが効果的。たとえば女性同士が連帯してストライキやボイコットを起こして戦うべきなんじゃないかな。ヨーロッパでフェミニストのムーブメントがあったときも同じようなことをして議論を投げかけていたんだ」

とはいえ、「それだけの行動を起こすのはなかなか難しいのでは?」と思うところですが、アイスランドでは1975年10月24日に男女差別に抗議した女性が一斉に仕事も家事も放棄し、ストライキを行ったことがあったそうです。しかも、驚くことに参加した女性はなんと国全体の90%。その結果、女性が権利を認められた日として「女性の休日」が制定されただけでなく、5年後の80年には世界で初めて国民の選挙で選ばれた女性大統領も誕生させています。

40年以上も前から女性の権利を訴え続けるアイスランド人女性の芯(しん)の強さは、劇中のハットラからも垣間見ることができますが、言いたいことも言えない女性たちにとっては見習いたいところです。

監督・脚本:ベネディクト・エルリングソン
1969年生まれ。アイスランドでは監督としてだけでなく、作家や俳優としても活動。舞台演出家としても知られており、アイスランドの劇場の歴史の中でも成功を収めたといわれる作品を数多く手がけた。監督・脚本を務めた長編一作目の『馬々と人間たち』では、20以上 の国際的な映画祭で様々な賞を受賞し、高く評価されている。