資産1億円超え女子 マイルールを決めて投資で増やす

貯蓄と節約だけではなかなか手の届かない資産1億円の高みに、個別株投資という稼ぎ方を駆使してたどり着いた女子がいます。彼女らの共通点は「マイルール」を決めていること。そんな「資産1億円女子」の投資方法を聞きました。
【ケース1】投資歴16年の山下かほりさん(仮名・45歳)

「気持ちの悪い」投資はしないをマイルールにして、高配当株を安いときに買う
山下かほりさんのマイルールは「気持ち悪い投資はしない」。例えば、持ち株が値上がりしたとき、もっと上がるのか下がるのか自問自答する。「下がるのが怖いと思ったら、速攻で売ります。気になって気持ち悪いですから」。投資対象は東証1部上場で、自分と接点がある、形のある商品を扱っている会社だ。これも、分からない会社にお金を託すのは気持ち悪いから。米国でトランプ大統領が誕生したときには、株価が下がりそうだと思い、1000万円単位で株式を売っている。「ドキドキ投資は好みません。高配当株を安値で仕込むなど、気持ちいい投資を軸にしています」。
【ルール1】配当利回り4%超え銘柄をそろえて、年間100万円の配当金をゲット
取得株価ベースの配当利回りが4%超えの株式を10銘柄近く保有、トータルで年100万円程度の配当収入がある。「いずれも安いときに買っているので、売れば値上がり益が手に入りますが、高利回りの配当のほうが魅力的」。

【ルール2】株価が上がってきても、配当金が増えなければ売りを考える
企業の成長で株価が上がり、配当金も増えるのが理想。ただ、現実的には配当金は一定で、配当利回りと株価は反比例の関係。1%程度など、配当利回りが低い銘柄は、株価が高すぎると判断、場合によっては売却も考える。
【ルール3】金融ショックが起きたら、損切りや持ち株の入れ替えを機敏に実行
東日本大震災の後はリストアップしていた「安くなったら買いたい株」を購入、トランプ大統領誕生時は「株が下がる」といわれていたので株を処分するなど、金融ショックのときは臨機応変に現預金と株式の比率を変えて資産を増やしてきた。

夫と子供3人と5人暮らし
公務員・専門職
最近のハマりごと : ドイツワイン
好きな有名人 : 草彅 剛

1億円女子のココが気になるQ&A
Q .資産1億円の使い道は?
働けなくなったときに備えるお金。鏡を見ると「年を取ったな」と思うことがあります。そんなとき、鏡の中の将来の自分に思いをはせ、今、どう行動すべきかを考えながら投資をしています。
Q .職場ではどんな存在?
部下についた新人に、「お母さんみたい」と言われたことがあります。部署の困り事相談窓口で、人事異動の季節にお掃除奉行の役を買って出るところは、確かにお母さん的かもしれません。
Q .これまでの一番のぜいたくは何?
結婚10周年のときに買った120万円のネックレス。デザイナーの方の作品で、工房にお邪魔して体に合うものを特注でつくってもらいました。自分的にはかなりの奮発です。
【ケース2】投資歴16年の緑川聡子さん(仮名・56歳)

他人任せの運用で大損以来、マイルールを決めて1億円超え達成
働くシングルマザーの緑川聡子さんは忙しい。投資も効率性重視だ。投資スタイルは、配当狙いの長期投資と、売却益を狙う短期投資の併用型。短期投資は、銘柄選びや売買タイミングを決めるのに手間がかかるが、緑川さんは投資対象を20社に絞り、マイルールによる売買で時間を節約する。「いつも見ているので、20社は今の株価が高いか安いかもすぐ分かりますよ」。もともとは、母が運用してくれていた自分のお金を引き継いだのが投資の出発点。「言われるまま買った投信で600万円の損。以来、"投資判断は自分で下す"が鉄のマイルールです」。
【ルール1】「絶対つぶれそうもない」と思える優良企業20社の株だけを持つ
時間がないので投資も効率重視。投資対象は「誰でも名前と事業内容を知っている、つぶれそうもない大企業」という基準で選んだ20社。一部の銘柄は配当狙いで長期保有し、一部は2~3カ月程度で売買を繰り返して売却益を狙う(ルール2)。

【ルール2】保有する株は、株価の上限と下限を決めて売買を繰り返す
銘柄ごとに株価の上限と下限を自分で決め、下限より下がったら買い、上限を超えたら売りというルールで機械的に売買。「上限・下限はこれまでの売買を参考に決めます。迷わないし、時間の節約に」。

【ルール3】含み損は絶対損切りしない。金融ショックのときも回復を待つ
投資対象が大手優良企業20社限定なので、倒産で株価がゼロになる危険性は低い。「不景気や業績悪化で株価が下がっても、つぶれなければ株価が回復する時期はやって来るもの」。含み損も損切りせず、株価が戻るのを待ち続ける。
子供と2人暮らし
電機・一般事務
最近のハマりごと : テニス、流行の健康法ダイエット
好きな有名人 : 錦織圭、大坂なおみ

1億円女子のココが気になるQ&A
Q .資産1億円の使い道は?
派遣社員のシングルマザーで子供がまだ小学生なので、学費、老後資金、医療費など、将来に備えるお金です。子供の進路もまだ分からないし、老後の不安がなくなるくらいは用意したい。
Q .職場ではどんな存在?
時短勤務で肩身が狭いので、目立たないようにしています。そのためか、仕事でテンパっても冷静に見えるようです。一番の古株なので、困ったときの最終手段として声を掛けられます。
Q .自分にとっての一番のぜいたくは?
欲しい物もないし、今は仕事、家事、子供のことで精いっぱい。ぜいたくをする時間も余裕もありません。たまに回転寿司に行く程度です。退職後、家を片づけたり、旅行三昧! というのが夢です。
(取材・文 日経WOMAN編集部)
[日経ウーマン 2019年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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